妹の作る料理は殺戮兵器

関口 ジュリエッタ

第1話 妹の料理はヤバい!

 清々しい朝の日差しにベッドから起き上がった朝倉秦あさくらしんはパジャマ姿のままリビングへと向かう。

 リビングのドアを開けると、そこはまるで地獄のような光景。


「おはよう、お兄ちゃん」

「……嘘だろ。これは悪夢か」


 黒いツインテールヘヤーでまだ幼さがある今年で中学二年生の妹、朝倉美海あさくらみみがキッチンで朝食の準備をしている。

 秦は思い出した、昨日から両親は旅行旅行で三日間自宅に帰ってこない。


「もうすぐ朝ご飯ができるから、待っててね」


 鉄を叩くような音がリビング中、響きわたり、恐る恐る秦はキッチンの方に向かう。


「お前は一体何を作っているんだ……?」

「お味噌汁だよ」


 天使のような可愛らしい笑顔だが、作っている料理はカオス。

 人参やら皮を向いてないジャガイモ、しまいにはどこから持ってきたのか豚の顔らしき物までごちゃごちゃと鍋に煮込まれている。

 

「このまま着替えて学校に行くから一人で朝食を取ってくれ」

「えっ!? 朝早く起きて作ったのに……」


 天使の笑顔から一変、うつむき瞳を潤ませて悲しむ表情をする美海を見て、食べざる負えない。


「なんか急に食べたくなったな~。料理ができるまでソファーでくつろいでいるから」

「うん!」


 鼻歌を歌いながら料理をしている美海はトレーの上にカオス的な料理を乗せてこちらにやってきた。


「おまたせ、お兄ちゃん!」

「……おう」


 トレーの上にある料理をテーブルに移し、美海は洗い物を片付けにキッチンに戻った。

 おかゆ並みにドロドロした白米、それとメインディッシュのカオスな味噌汁。

 味噌汁は味噌の茶色をした液体なのに美海が作った味噌汁はなぜか黒い、まさしくダークマター。

 最初にドロドロの白米を口にするが、味と食感はおかゆに近かった。問題は味噌汁。

 秦は意を決して味噌汁を飲む。


「ヴラァァァァ――オェェェェェェッ〜」


 あまりのゲロマズ料理に秦はその場で倒れ、絶命するほどの苦痛を味わうのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妹の作る料理は殺戮兵器 関口 ジュリエッタ @sekiguchi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ