第4回空色杯

mirailive05

古城と古場とあと……

 ルーマニアの古い地名が記されたその場所に、夏休みを利用してヴァンとカールは海外旅行に来ていた。

 古い地図と新しい地図を見比べつつ、スマホのGPSを駆使して、地元の住人でも知らない古城を目指していた。

「ドラキュラ出現の噂、ワクワクするな」

「そそそそうかな、こここわくはないけど」

「なんだよ足震えてるじゃないか」

 朽ちた枝葉を踏み分けて、二人はやっと古城にたどり着いた。

「何人か行方不明になってるのは本当らしいぜ」

「ちょちょちょちょっとトイレ……」

「無いぜそんなもん」

 さくを乗り越え一足先に城の中に入っていくヴァン。

 あちこち引っかかったり、すっころびながらカールが追い付いてきたようだ。

「向こうを見ろよカール。あれ棺じゃないか?」

 後ろも見ずに話しかけるヴァン。

 肩に意外と大きな手を掛けられ、それをゆすって振りほどく。

「なんだよカール、鬱陶しいな」

 ヴァンは振り返えった。

 思ったよりも高い位置に、つぎはぎだらけの顔が浮かんでいた……




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