038 ゴールデンエイジ特典
ゴールデンエイジ。
それは運動神経が発達し、様々な技能の習熟速度が飛躍的に上がる年齢のこと。
大体9歳~12歳の頃とされ、俺達は正にそこに突入したところ。
実際、【状態】の項目を見ると【ゴールデンエイジ】との記載があった。
効果は【経験ポイント】の取得量が5倍になるというもの。
まあ、そうは言っても小学生レベルで行えるトレーニングの強度には限りがあるので、基礎的な取得【経験ポイント】は高が知れているけれども。
ここでの努力が大きなアドバンテージを生むことは間違いない。
「ほらほら、もっと走れ走れ!」
放課後。
クラブ活動の時間。
すなお先生の許可を取り、俺はグラウンドを走る瀬川兄弟を追い立てていた。
疲労の色は見えてきているが、2人はそれに文句の1つも言わない。
何故なら成長というカタルシスを得てしまったからだ。
「よし。次はキャッチボール」
【状態】を見ながら程々の疲労度で次のメニューへ。
疲れていると無駄な動きが減る。
そんな理屈をたまに聞くことがある。
実際どうなのかは知らないが、少なくとも双子には効果があった。
美海ちゃんと同じように、意気込み過ぎてフォームがおかしい。
彼女以上に拗らせていたから、遊びながらのトレーニングは効果が低い。
となった時、ステータスをいきなり上げるのは危険だった。
体の出力は上がったのに補正は利かず、動作はおかしなまま。
昇二の方は【怪我しない】持ちだからいいとして、正樹は怪我のリスクがある。
だからランニングで疲労させ、意識をそちらに向かわせてステータスの補正が利き易い状態を作ったのだ。
その上でフォームを矯正してやるような素振りを見せながら体に触れ、ステータスを少しずつ上げた。
結果。
「近いところから少しずつ距離を開けて」
「分かってるよ」「うん」
あれ程までにダメダメだった2人は、問題なくキャッチボールができるぐらいにはなっていた。
確かな成長。彼らもそれを実感したようだ。
正樹は若干素直じゃないが、2人共素直に俺の指導(?)を受け入れている。
そんな2人の今のステータスはこちら。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・瀬川正樹(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:100 SP:100 TAG:100 TAC:200 GT:100
PS:100 TV:1000 PA:200
残り経験ポイント:11193 好感度:53/100
・瀬川昇二(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:100 SP:100 TAG:100 TAC:200 GT:100
PS:100 TV:600 PA:200
残り経験ポイント:3218 好感度:55/100
兄弟格差は保有している【生得スキル】の差だ。
正樹は【超早熟】と【衰え知らず】。
昇二は【超晩成】と【怪我しない】。
【超早熟】は15歳までの【経験ポイント】取得量を2倍にし、かなり早い段階で【体格補正】や【年齢補正】も全盛期並みになる。
代わりに【体格補正】の最大値が5%低い。
20歳を過ぎると【経験ポイント】の取得量が0.5倍になり、【体格補正】や【年齢補正】を含む能力の衰えが通常の2倍進行する。
その辺のデメリットを【衰え知らず】が防ぐため、かなりのシナジーがある。
うまく鍛えれば、早い段階から長く長く一線で活躍できるだろう。
【超晩成】は15歳までの【経験ポイント】取得量を0.5倍となり、【体格補正】や【年齢補正】も全盛期になるのがかなり遅い。
代わりに【体格補正】の最大値が5%高い。
20歳を過ぎると【経験ポイント】の取得量が2倍、【体格補正】や【年齢補正】を含む能力の衰えが通常の0.5倍に抑えられる。
高負荷・高効率のトレーニングができる環境まで辿り着ければ、【怪我しない】で高い【経験ポイント】取得量を維持できる。
全盛期の能力は俺よりも高くなるかもしれない。
それはともかく現在のステータス。
見て分かる通り、【Total Vitality】以外は抑え気味となっている。
これは俺の都合だ。
2人にはこのチームにい続けて貰わなければならない。
上達したからと親を説得して別の学外チームに入りました、では都合が悪い。
【ゴールデンエイジ】補正が本格的に乗ったら【経験ポイント】も爆増するだろうが、6年生まではステータスは微増程度に留めさせて貰う。
全ツッパした結果のお披露目は、全国小学6年生硬式野球選手権大会だ。
と、そんな程度の軽い認識でいたせいで、俺はまだ想像できなかった。
【超早熟】+【衰え知らず】+【ゴールデンエイジ】のシナジーによって生み出される結果を。
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