ゲームだよな?


「好き好きゲームぅ、スタート!」


 ハイテンションでそう拳を突き上げ叫ぶのは、成瀬なるせしずく


 海月高校二年A組に居座る彼女の本来のクラスは、一年A組。では、なぜこの教室にいるのか。


「その愛してるゲームの派生系みたいなゲームはなんだ?」

月野木つきのき先輩ノリ悪ーい」


 見ての通り、先輩と遊ぶためである。


 クラスメイトにとってはこれは日常の風景であり、微笑ましく見守っているのだ。


 すると、月野木つきのき彰久あきひさは口を開いた。


「……一応、ルールくらいは聞いておこう」

「ほいきました。おほん、ルールは一つ!互いに好きと言い合って恥ずかしがったら負け。言い淀んでも負けであります!」

「それ二つないか?」

「気にしたら負けですよ、月野木先輩」


 「ではでは」と、話を強引に進める。


「月野木先輩、好きです」


 クラスの男子の視線が一瞬絶対零度まで下がった気がした。

 嫉妬に狂った奴に殺されるのが先ではないはないかと、恥ずかしがるどころの話ではなく、彰久の表情は凍りつく。


「次、月野木先輩の番ですよ?」

「はぁ……分かった」


 嬉しそうに微笑む雫。可愛く深呼吸をすると、彼女は少し目線を上にあげて一言。


「優しく、してくださいね?」

「なにが!?」

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