ミキサー

伽藍青花

第1話 ミキサー

 私の担任の先生はすごい。

 私の苦手な数学が完璧にできて、大学時代に数学の難しい問題を証明したすごい先生。

 仕事熱心で、ノリもよくて、先生からも生徒からも人気。

 そんな先生を、私は尊敬している。


 先生は顔もスタイルもよくて、性格もいい。

 いつ質問しても、何度同じこと聞いても、どんなに簡単な問題でも、ちゃんと私が理解するまで教えてくれる。

 そんな先生に、私は恋をした。


 だけれど、同じクラスメイトの彼女。

 彼女は先生と距離が近い。

 いわゆるギャルみたいなコで、先生の体に触ったり、手を握ったりしようとする。

 もちろん、先生は注意してるけど。

 先生と距離が近いし、先生から「注意」されるなんて……。

 そんな彼女に、私は嫉妬した。


 ある日、彼女が友達と話しているところを聞いてしまった。

 ――センセ、あんたのこと、好きなのかもよ。

 —―あはっ! ロリコンじゃん! キモすぎー! 

 —―きゃははは!

 ありもしないことを言って、勝手に決めつけて、先生のことを悪く言うなんて。

 そんな彼女に、私は殺意を抱いた。


 私には、同じクラスに幼馴染の男子がいる。

 彼は、幼馴染ということもあって、気が許せる友人だ。

 何でも相談ができて、一緒に遊んだりもする。

 そんな彼に、私は友情を感じている。


 でも、そんな彼が昨日、告白してきた。

 しかも、返事をする前にキスをしようとしてきた。

 まるで、私が告白にOKすると思っていたかのように。

 彼は、友人であって、好きなわけではない。

 そんな彼に、私は軽蔑した。


 家に帰っても、親とはなにも話さない。

 一応、ご飯はくれるのだが、私のだけ量が少ない。

 親の愛情は全て、優れた姉に向いているのだ。

 そんな親を、私は嫌悪している。


 先生への尊敬。

 先生への好意。

 彼女への嫉妬。

 彼女への殺意。

 彼への友情。

 彼への軽蔑。

 親への嫌悪。


 全部、ミキサーに入れて、砕いて、混ぜて。

 ぐちゃぐちゃになった、私の心。


 ――いただきます。


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ミキサー 伽藍青花 @Garam_Ram

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