ゲーム配信者のおっさん、歩くことでレベルが上がるスマホアプリ深夜配信中に リアルモンスターに遭遇する?

明石竜 

第1話

深夜の散歩で起きた出来事



「ただ今の時刻、午前0時を少し回ったところでございます。風がビュービュー吹いてかなり寒くなって参りました」

 ある日の深夜、ゲーム配信だけで生計を立てているアラフォーのおっさんは、歩くことによって自動的にモンスターが討伐され、キャラのレベルが上がっていくとあるウォーキングアプリゲームのライブ配信を行っていた。

「わたくし今、山あいの某田舎町で配信を行っております。何でこんな田舎で? わざわざ深夜に? といいますと、田舎の方がリアルに熊とかイノシシとかタヌキとかサルとかの、けもの系モンスター的な野生動物にも遭遇しやすいですし、街灯の少ないこの場所で深夜にプレイすることで、闇の世界って感じが増してよりゲームの世界観にも一層近づくと思いまして。まあ本当は出遭いたくないですけど」

 配信者のおっさんはそう呟きながら散歩し配信を続ける。

 すると、山の方からヒィーン、ヒーン、キューンという音が。

「おどろおどろしい鳴き声が聞こえて参りました。鹿っすね、あれは」

 苦笑いでこんなことを呟いていると、

「でっ、出ました! イノシシです。わたくしの目の前にリアルにイノシシがいます。いやぁ~、熊じゃなくてよかったぁ~。さて、皆さんがリアルな世界でけもの系モンスターに遭遇してしまった時は、どうすればいいかと言いますと、逃げるに限ります!」

 配信者のおっさんは焦り気味にそう伝えると、付近に停めてあった自家用車に乗り込み、すぐに発車しこの場から立ち去る。

「逃げんなよ」「車使用は反則だろ」「勇者だろ。戦え」

 とかいう批判コメントも添えられたが、

「安全にプレイするように運営からも案内されてますし、逃げる一択っすよ。皆さん、ここまでのご視聴ありがとうございました。よろしれば、ぜひともチャンネル登録、お願いします」

 そう伝えて、ドライブをしながら配信を終えたのであった。

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