とあるぐちゃぐちゃ話

石野二番

第1話

「センパイ、いいかげんこのぐちゃぐちゃの部屋片づけましょうよ」

「ぐちゃぐちゃなのはまずお前の距離感だよ。なんで会って二日目で俺の部屋に居座ってんの?」

「いいからいいから。ほら、乾いた洗濯物もきちんとたたんで」

「全然よくないんだけど。そもそもお前ホントに後輩?」

「後輩に決まってるじゃないですか。そんなことよりそこのビニール袋もまとめてください」

「そのわりに俺、お前の名前も知らないぞ」

「今はそれよりも片付けです。そこのギターも端に寄せて」

「いやいや、それお前の持ち物だろ。お前が昨日の晩それ担いで泣きながらうちの前に立ってたんじゃん」

「そう、それが私たちのなれそめでしたね。さぁ、次はこのTVですよ」

「おい、なれそめとかそんな関係じゃないだろ。そして何故TVを外に出そうとする」

「だっていらないでしょう?今どき情報なんてネットでじゅうぶんですよ」

「情報はそうかもしれんが、俺は歌番組と旅番組が好きなんだよ」

「そんなやつらなんて、私が忘れさせてあげます」

「なんだその甘い言葉は。それじゃあまるで……」

「そこまでよ!」

「なんだ!?自称後輩(仮)がもう一人!?」

「そいつは私の偽物です!さぁ、ここから出ていきなさい!そしてギターも返しなさい!」

「チッ、もう少しでこの男の嫁の座を得て悠々自適に暮らせたのに……」

「なに!そんなことを企んでいたのか!もう少しプランを練ってから出直して来い!」

「ふふふ、言質取りましたよセンパイ!ではでは、次回のプランに乞うご期待!」

「高笑いしながら去っていくとは。偽物ながら天晴れ」

「で、自称後輩(真)さん。そろそろ事情を説明してはもらえんだろうか」

「私にもよく分かりません。やつは急に私の前に現れてこのギター、宇宙パトロール証777号を奪い取っていったのです。ところで、あなた今恋人とかは?」

「あーもう何もかもぐちゃぐちゃだよ」

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とあるぐちゃぐちゃ話 石野二番 @ishino2nd

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