第09話 ※メイドのつぶやき
私は、帝国の帝王城本城付きのメイド。
今夜は運悪く、離宮の火落とし係になってしまった。
不要な明かりを消して歩いていく。
夜な夜などこからか、甲高い笑い声が聞こえてくる。
第二王子の声なのだそうだ。
聞こえない聞こえないと、自身につぶやきながら職務を早足にすすめる。
私は、笑い声しか聞いてません、聞いていませんたら聞いてません。
噂なのだが四年前、3人のメイドがズタボロで見つかった。
第二王子の勘気に触れ、拷問されたそうだ。
第二王子が8歳の時だ。
どうやら他にも、いろいろしていたようで、帝王は妃からの助言を受け。
第二王子を、本城からひとり離宮に居城を移らさせた。
ただ、食事の時などは本城で食べている。
専用のメイドも付けられたので、ある意味、罰になっていない。
臭いものを隔離、帝王や妃の目にその行為が映らないように隠しただけ。
暴力や嫌がらせは回数を減らした。
だが、より陰湿に周りからはわかりにくい様に悪質になった。
最近は、性的な目で見てくるようになり、暴力から性的な嫌がらせが増えてきた。
まだ、精通がないので致命的な行為には及んでいない。
それも時間の問題だろう。
夜伽などを命じられる日も近いのではと、離宮のメイドたちは震えあがっていた。
離宮のメイド職は、一番不人気だった。
しかし、去年から第二王子からの暴力が、ぴたっと無くなった。
第二王子から、冷たい目で睨まれるぐらいで声も掛けてこない。
ただ不愛想にメイドにされるがままに、うなずいたり、手で否定を示されるぐらい。
再度、帝王たちに何かしら報告が上がり、叱責されたのではと噂になった。
離宮より本城の帝王たちの傲慢さが逆に目立つようになってきた位に、離宮で何も起きなくなった。
逆に恐ろしい。何か貯めているのではと、いつか爆発するのではと。
しかもそのころから、急に痩せ始めた。
悪いことの兆候ではと、メイドや使用人らが噂しだした程にありえなかったらしい。
離宮には今夜も、笑い声が響きわたる。
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