第2話


でかい獣から逃げようとした瞬間、

何かが落ちているのを見つけた。



拾ってみた。それは鞭だった。


何故こんな所に鞭があるんだ。


それも、現世で俺をいじめていた主犯格のやつが持っていた物と同じような鞭が。



嫌な光景を思い出してしまった。



せめて少しくらい仕返ししてから自決すればよかったか・・・・


物凄く腹が立ってきた。




「ちょっと何つっ立ってんのよ!!」


獣と戦っている魔女姿の少女が叫んだ。

手に持っている杖で獣を何度も殴りつけている。

何故魔法を使わない。


「馬鹿なの!?死にたいの!?さっさとどっか行きなさいってこののろま!!」



そう怒鳴られた瞬間、一気に頭に血が上るのを感じた。

その直後。



「ひぎぃ!!??」



少女が悲鳴を上げた。

俺が鞭で思い切り叩いたからだ。


二発、三発と叩く。


「ぐっ!! ひぐぅ!!」


叩く度に少女の悲鳴が響く。



もう二発。計五発で俺は叩くのをやめた。

少し落ち着いてきた。



少女を見ると、びくびくと身体を震わせていた。

呼吸が荒くなっているのもわかった。


その姿を見た俺は・・・・






物凄く興奮した。






もう一発叩いた。


「んひぃ!?」



再び少女が悲鳴を上げた。





落ち着いてきた気持ちが再び昂るのを感じた。



正直、いじめる側の気持ちがわかった気がした。



「ハァ、ハァ・・・・」



少女は依然呼吸が荒いままである。



が、暫くして、こちらを涙目で睨みつけてきた。顔は真っ赤である。

そりゃそうだ。こればかりは怒って当然である。




「アンタねぇ・・・・!!」


激おこである。ずんずんとこちらに近寄ってくる。


が、



更にその少女の背後から再び獣が襲い掛かる。


ちなみに俺が少女を叩いていた時、ちらっと獣の方を見たら俺でもわかるくらい困惑の表情をしていた。

それはともかく危ない!!



「危な


俺が叫ぶより先に気が付いた少女が獣の方へ振り返る。



その瞬間、

少女が持つ杖から稲妻が走った。



「!?」



大きな稲妻だった。


獣はそれをもろに喰らい、凄まじい悲鳴を上げた。



そして倒れ込んだ。



この光景に驚きと困惑の表情になった。


少女が。



「えっ、えっ?何で・・・・?」



当然俺も驚いたが、目の前の少女はそれ以上に驚いているようで、更に困惑しているようだった。

ぴくりとも動かなくなった獣に少し近付き、やはり近付かないでおこうと止まった所でその表情が見えた。



「やっぱり本物の魔女だったんだな」


「そうよ。何か文句ある?」



少女はそう言った直後に表情を怒りに変えた。


「いや文句あるのはこっちよ。アンタさっきはよくも



と、俺の胸倉に掴みかかってきた瞬間。



「!?」



突然、何処からともなく縄のようなものが少女に向かって伸びてきた。

少女は反応できず、縄で縛られた。





「は~いそこまで~」



今度は女性が現れた。

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