書店少女ザキ力☆マギカ
ゴカンジョ
第1話
夜の
一世紀の歳月が「
「これは一体どういう絵なんですか?」
かの紀伊國屋よりも長い歴史を誇る友隣堂は、「ムンッ」と胸を張ってこう答えた。
「いやぁ、なんだかよく分からないんですよね!」
嘘みたいな話だが、驚くなかれ実話である。友隣堂は、己が来歴にかかわるやもしれぬ絵画を、画家の名も作品名も「まあエエじゃないか」と投げっぱなしジャーマンよろしく豪快に捨て置いて、「なんだかよくわからない絵」としてそのまま半世紀以上、何食わぬ顔で掲示していたのだ。その達観しきったエエじゃないか精神はいっそ感動的である。こうして「友隣堂の謎の絵」は、長らく「伊勢佐木町の七不思議」の一つに数えられることになる。
二〇二一年、友隣堂に聞いても埒が明かないと立ち上がったザキ住民が、新聞社に調査を依頼したことで謎の絵画事件は割とあっさり解決するのだが、実はもう一つ、七不思議としてまことしやかに囁かれるある噂が、友隣堂には存在した。
「友隣堂の地下には、ミミズクのぬいぐるみに取り憑いた口の悪いお化けが出る」
これから始まるのは、本当に七つもあるんだかむにゃむにゃ判然としない「伊勢佐木町の七不思議」の一つに不幸にも巻き込まれた、とある少女の物語である。
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