2024/11/16
寝づらい夜。
目を閉じていると、誰かが布団から廊下へ引きずり出してくるような感覚があった。
でも、体は布団にあるまま。
何度も何度も引きずり出される感覚があった。
廊下へ引きずり出された感覚があると、肩の辺りがひんやりとした。
冷たい風が、冷たい床が、着ている着る毛布を貫通してからだの熱を奪っている。
でも、体は布団の中にある感覚も同時に味わっていた。
着る毛布も着て、布団の中にいるのに、徐々に体が寒さを感じるようになってきた。
暑くてたまらないくらいあたたかい感覚もあって、魂だけが抜き取られたのではないかと思うほどだった。
そうやって何度も布団から引きずり出される感覚を味わったあと、いつのまにか夢を見ていた。
何度か咳で目を覚ましながらも、みた夢はとても嫌な夢だった。
雨宿りをしながら洞窟で暖をとっていた。
ある屋敷で拾ってもらえて住まわせてくれるとのことだったけれど、地下や隠し部屋に実験室や拷問部屋があって心を開けなかった。
すると、屋敷の子どもが嫌みったらしく突っかかってきたけど無視をした。
早くここから出ていかないと。
階段を駆けおりて外へ出ようとすると、屋敷の若旦那……さっきの子どもの父親がドアに手をやり、外へ出られないようにしながら話しかけてきた。
見つからないように出ないとな。
そう思いながら話を無視して踵を返そうとすると、両手首を掴まれた。
ビックリしてからは覚えていない。
咳で一度目が覚めたか、場面が飛んだかなにかで外にいた。
屋敷の息子が私に銃を突きつけ、殺される前に友達が銃口を素手でずらして代わりに死ぬところから覚えている。
悲しくて、腹が立って、殴りかかったあとに銃の燃料を抜いた。
夢の中の銃は液体燃料で動作していた。
液体を抜いて無力化すると、鼻血をだしながら屋敷の息子はどこかへ逃げていった。
一人で地下の狭い空間で雨宿りしようとすると、一部始終を見ていた人たちがうちにくるよう声をかけてくれた。
背が高く肩幅の広い男性と、小さな子どもたちだった。
警戒しながらも、いざとなれば抜け出せば良い。
そう考えながら顔を出してみると、不思議なランプで暖をとりながら洞窟を明るく照らしていた。
ランプはただのアルコールランプと、アルコールランプに似た容器だけれど、火がついているのではなく、容器の中でなにかが沸騰することで発光と発熱をしてくれてすごくありがたかった。
たしか、よく逃げ込む地下にもっと暖かくなるものが……。
そう考えてやめた。
まるでこの人たちとずっといようとしているみたいだと思ったから。
今はまだ様子見だから。
そう思っていると目が覚めた。
酷い咳で目が覚めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます