2023/4/30 二人の転校生
どういうわけか高校生の頃に戻っていて、教室で荷物をおろしたあと髪の毛を切ったりいろいろしているところから記憶がある。
ゴミ箱の上で切っていたはずなのに、いつの間にかなくなっていてあたりが毛まみれになっていた。
床も服もなにもかも。
払っても払っても毛がついたまま。
消えたごみ箱は後ろから3列、左から3列目の位置にあった。
そこは誰かの席で、机に突っ伏して寝ている人のすぐ真後ろ。
ゴミ箱をそっととって、髪の毛をその中に入れようとしても減らないし増えないしとれなかった。
そのうちに先生が教室へやってきたので席へ着こうとした。
確か前から二列目で右から二列目だったはず。
しかし、そこには右隣にいたはずの子が座っていた。
おかしいと思いつつ、その子の一つ左隣に着席したけれど、周りの人も違和感を覚えていたようで、なんか違うよね? という話になった。
そうして一つ右隣につめていき、元通りの席になったけれど、机の中身が違っていた。
変だな? と思っていると、周りも違和感に気づき、ざわざわと騒がしくなり始めたのも束の間。
転校生の紹介が始まった。
結論からいうと転校生は二人。
二人だったけれど、一人教室に入って紹介が終わってからもう一人入ってくるという不思議な形式だった。
転校生の紹介が始まってから横一列全員「あっ」と声を上げて慌てて隣にずれていった。
先に言ってくれればいいのにね、なんて言いながら、転校生の紹介が二人とも終わった。
一番右端と、ドア入ってすぐの席の二つが転校生の席だ。
みんなで興味津々になって転校生を見ていたけれど、先生の一言で違った騒々しさへと変貌した。
「テストをはじめます」
抜き打ちテストに阿鼻叫喚の嵐だった。
そしてなぜか、席の間隔をあけてカンニング防止するのではなく、右に列、前から3列と班を作る時のように机を合わせてテストが始まった。
いろいろおかしいぞと思ったけれど、そう思っているのは私だけのようだった。
おかしいのはそれだけじゃない。
テストが始まってから解答用紙に名前を書いていると、左隣になっている転校生が私の机の上、おまけに問題用紙の上で名前を書いたり問題を解こうとし始めた。
これじゃ問題を解けないとかそれ以前の話だった。
あまりに豪快というか、大胆というか、滅茶苦茶だった。
とにかく滅茶苦茶すぎて思わず笑ってしまったので、周りからなんか楽しそうだとこそこそささやかれた。
笑っていると、左前になったもう一人の転校生が消しゴム借りて良いですか? と先生に言ったけれど相手にされていないのか、聞こえていないのか返事をしてもらっていなかったので、「それならどうぞ」と差し出してみると、私の前の席にいる子がどういうわけか席を立っていなくなった間に筆箱から消しゴムをそっとくすねていた。私の差し出した消しゴムもろとも。
なんだこの二人めちゃくちゃだぞ!
思わずケタケタ笑っていると、先生から笑いすぎだと突っ込まれて目が覚めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます