幼馴染み 【徹】

【徹】Episode1兄貴

俺の名前は、濱出 徹。


俺には、二人の兄貴がいる。


1人は、一回り以上も年の離れた兄貴で精神科医をしている。


もう1人は、双子の兄貴だ。


俺と違って何でもできて両親からも期待されている。


いけ好かない双子の兄貴だ。


俺は、何も持っていない。


両親には、疎まれて生きてきた。


そう、10年前のあの日までは。


あいつが死ぬまでは。



10年と少し前。


俺は、優一と冬華。


それに、双子の兄貴「巧」とでよく遊んでいた。


ある日、気弱そうな少女「純恋」がその輪に入るようになった。


巧兄は、純恋に優しくし慕わられていた。


そんな光景に心底ムカついていた。


俺は、純恋の事が好きだった。


兄貴が、彼女を好きになる前からずっと。


いや、本当は俺の方が先に出会っていた。


なのに、同じ顔で同じ背格好。


俺たちを、肉親以外が区別などできるはずがなかった。


ある日、俺は一番上の兄貴「駿すぐる」に相談した。


そして、駿兄からとっておきの方法を聞いたんだ。


俺は、そのとっておきの方法を使って純恋が俺のことも巧兄のことも「徹」と認識するようにした。


これで、巧兄がしたことはすべて俺「徹」がしたことになる。


これで、純恋が俺の物になると思うと嬉しくてたまらない。


俺の中で「徹」が歪み始めたのはこの時からだった。

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