第29話 幼馴染みとお買い物2

「優兄ちゃん、冬華お姉ちゃん。私、色々見て回ろうと思うの」

「いいよ、じゃあ昼時にフードコートに集まろうか」

「は~い」

そういうと純恋ちゃんは、行ってしまった。

「優ちゃん、私たちも別行動するわね。お昼には合流しましょう」

「はい、でわまたお昼に」

春さんと夏生さんは、仲睦まじく手を繋いで行ってしまった。

「結局2人になっちゃったね」

「えへへ、じゃあ私たちもデートだね」

そういうと冬華は腕を絡めてきた。

すっかりこうして歩くのが慣れてきたな。

そういえば、デートってあんまりしてなかったな。

「最近は商店街でしかデートしてなかったね」

「あ、たしかに」

「じゃあ、今度どこか遊びに行こうか」

「うん、優一。大好き」

「僕も大好きだよ」

僕らは、寄り添いながらモール内を歩いていく。

もちろん、必要なものは買っていく。

「まず、どこから行こうか?」

「食器みたいかな」

「じゃあ、あっちのお店だね」

陶器専門店がここには入っているのでそこへ目指すことに。

日曜ということもあってなかなか混んでいる。

たまに、同級生にもすれ違う。が、声をかけられることはない。

まあ、僕らの今の状態を見て声はそりゃあ掛けないよな。

もう、明らかにデートだし。

「えへへ」

「どうしたの?」

「えっとね、クラスの子とかすれ違ったんだけど」

「うん、結構すれ違ったよね。恥ずかしかった?」

「そうじゃないよ。「素敵」「あの二人付き合ってたの」とかみんな言ってて、嬉しくなっちゃった」

確かに、嬉しい。

純粋に認められたみたいで。

「あんな奴が?」とか嫉みを浴びるよりずっといい。

「僕もそれ嬉しいな」

「えへへ、だよね」

3学期、僕はほとんど教室には行けてなかったから。

冬華と一緒の登校もそんなに多くなかった。

4月からは、一緒に行ける。

そしたら、みんなに注目されるんだろうな。

でも、僕らはそうした注目を浴びてもずっと一緒にいるだろう。

まあ、これから一緒に暮らすのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る