第27話 幼馴染みと同棲

僕は、朝ごはんを食べると早速春さんの所へ出向いた。

そしていま、藤ヶ崎家のリビングで春さんと夏生さんに向けて正座していた。

「夏生さん、春さん!冬華と一緒に住まわせてください」

「いいわよ」「いいぞ」

僕は、土下座をしていた。

あれ?ふつう怒られるとこなんじゃ。と僕は拍子抜けしてしまう。

「もう、話があるって来るから。

結婚の報告とかかと思ったのに」と春さん。

「優くんのことは、信頼している。という話は昨日もしたと思う。

あの子が納得しているなら、俺たちからは特に追及はしない」

「それよりも、純恋ちゃんのお部屋作りと思ってたけどそれなら冬華の部屋をそのまま使ってもらえばいいし」

とんとん拍子で話が決まっていく。

とりあえず、今日から冬華は僕の家で生活をすることになる。

「じゃあ、とりあえず優ちゃんのとこにいっていろいろ決めましょう」

そういうやいなや、春さんは玄関に向かっていた。

僕は、夏生さんに視線を向ける。

「冬華を頼む、優くん」

「はい、もちろんです。

それに、すっかり僕も冬華がいないとダメになっていますから」

「ふふ、そうか」

僕は、春さんの後を追って自宅へと戻った。


自宅に戻ってくると春さんはダイニングの料理を摘まんでいた。

「優ちゃん、上達したわね」

「ありがとうございます」

「ママ、落ち着いて。とりあえず、座りなよ」

そう、春さんは立ちながら摘まんでいたのである。

ダイニングには、冬華だけがいた。

純恋ちゃんは、まだ寝ているようだ。

春さんは、冬華の対面に腰を掛けた。

僕は、そのまま冬華の隣の席に腰を下ろす。

「ふぅ~、ご馳走様。

二人共料理ができるなら安心ね」

「そうですね、まあたまに二人で作ることもありますし」

「え~、いいなぁ。私もそういうのしたかった。

夏生さん、料理はできないから」

少し寂しそうな表情を見せる春さん。

冬華は、少しジト目になっていた。

「そんなことよりも、冬華。

今日からは、こっちのお家で過ごしていいから。

純恋ちゃんは、貴方の部屋で過ごしてもらうけどいいわよね?」

「うん、それで大丈夫。ありがとう、ママ」

「もう、朝から優ちゃんが『お話があります』なんてくるから結婚なのかしらと思ってしまったわ」

冬華が頬を染めながら僕の顔を見る。

僕もつられて頬を染める。

「私たちは、貴方たちなら結婚だって認めるわ。きっと、はじめ君も優子ちゃんも同じ気持ちだと思うけど」

はじめ君、優子ちゃん・・・まあ、僕の両親の事だ。

木倉 はじめと優子。それが、僕の両親の名前だ。

いまは、まだ中東にいるのだろうか。

僕は、春さんに視線を向ける。

「春さん、それはもう少しだけ待っててください」

「あら、「もう少し」ね」

「もう、ママ!」

「夏生さんにも先ほど言いましたけど、僕はもう冬華がいないとダメだから」

「もう優一、(私も優一がいないとダメ)」

冬華の顔は真っ赤になっていた。

春さんは驚いていた。

「あらあら。優ちゃん、もうそれはプロポーズよ。

じゃあ、『もう少し』待っておくわね」

冬華は、僕の袖口を掴んでいた。

恥ずかしかったんだろうなぁ。

その後、冬華は自宅に戻って着替えや必要なものを持って軽い引っ越しを済ませた。

純恋ちゃんは、お昼ごろに起きてきたのだった。

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