第16話 幼馴染みと商店街

僕らは、手を繋ぎながら歩く。

隣に並ぶと冬華の背の低さは目立ってしまう。

まあ、僕もそこまで身長があるわけではないけどね。

冬華が150cmないくらいで、僕が160cm。

並ぶと確かに彼女のほうが低い。

あ、でもいまはヒール履いてるから少し差が縮まってるかも。

「優ちゃん、甘いもの食べたいなぁ」

「甘い物かぁ、アイス、クレープあたり?」

「じゃあ、クレープ」

「イチゴいっぱいのやつだね」

「さすが優ちゃん」

冬華は、イチゴが大好きだ。

それは、子供の頃から変わらない。

『おまえが・・・許さない』

また、聞こえた。

どうして、僕がお前にそんなに恨まれないといけないんだ。

お前が自分で蒔いた種だろう。

「・・・ちゃん、優ちゃんどうしたの?」

「ごめんごめん、ちょっと考え事」

「むぅ、可愛い彼女はここですよ?」

頬を膨らませる冬華。

可愛いなぁ。

僕は、冬華の頬を突く。

すべすべして柔らかい。

そして、その指は冬華にパクっと食べられる。

「いじわる」

「ごめんごめん、可愛いからついつい」

「・・・かわいい」

冬華が、口にした指を放してくれたが頬を赤らめていた。

僕は、彼女の頭を撫でていた。

「えへへ、優ちゃん大好き」

『許さない・・・許さない・・・許さない・・・許さない』

「僕も大好きだよ。冬華」

間に、バカの声が入った。

最悪だ。

もう消えてほしい。

消えろよ。

「優ちゃん、大丈夫?」

「ん?大丈夫だよ」

心配されてしまった。

あとで、神社かお寺にでも寄ってみようかなぁ。


僕らは、そのあとクレープを買って食べた。

さすがに、恥ずかしくて食べさせ合いは勘弁してもらった。









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