二日酔いが粥を作るだけの話
碧空
二日酔いにお粥を食べる人
「あ〜ぐらぐらする。」
二日酔い真っ只中の休日、怠い体に鞭を打ってふらふらと台所へ行く。
ゴムで長い髪を一つに結び、眼鏡をかけることも忘れない。というかかけないと周りがぼやけて何も見えない。
ついでに前髪もゴムで一つにまとめる。パイナップルの葉の様に頭上に髪が咲く。
こんなトンデモ髪型部屋の中でしかできない。
さて、ひとり暮らしなのだから、何か作らないとご飯がない。
そこまで食欲があるわけでもないけど、とはいえ何も食べないわけには行かないだろう。
「ふむ、取り敢えずお粥あたりでいいか。」
さて、メニューが決まったなら冷凍庫を開く。
昨日炊いたご飯を取り出し、レンジで軽く温めてと。
続いて鍋に水とそのご飯をポイと入れ、加熱する。水が沸騰したら隙間を開けて蓋をして、また加熱。
ぐつぐつ ぐつぐつ
とろみが出たら落し蓋をして蒸らす。
うん、立派なおかゆだ。食欲のない朝とも昼とも言えないこの時間に食べるのにもってこいだ。
朝ごはんはちゃんと食べろとはよく言うが、休日グダグダモードの時くらい朝と昼を合体させてもいいだろう。お金も時間も節約だ。
具材は適当に梅干しとしらすでも入れておこう。卵粥も悪くないが、今日はさっぱりしたもののほうが良さそうだ。
具材の上から軽く醤油を垂らして完成。あまり食欲が無いと言ったが、こうして完成させてみると早く食べたいなと思う。
これは私の癖なのだが、一人部屋で食べている場合、カレーなどは混ぜてから食べたいと思う派閥だ。
もちろん、粥もだ。
梅干しとしらすを全体に行き渡るようにほぐして混ぜていく。
「あは、ぐちゃぐちゃだな」
これが好きなのだ。混ぜてしまえば後は掬って口に放り込むだけ。別にやらなくていいと言われればそうなのだが、まあ一人でいるときにしかやらないし。別にいいだろう。
「ん、うま」
こうして二日酔い会社員はひとときの幸せを噛みしめているのでした。
二日酔いが粥を作るだけの話 碧空 @aon_blue
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます