第99話 作家のお仕事
風邪がひどいことになってしまい、しばらくなにも手に付かないでいる藤光です。みなさんも体調には注意してください。健康第一です。
さて、風邪をひいてボーっとしている間に時期を逃してしまったような気もしますが、時事ネタで書いてみようと思いました。
『日大アメフト部薬物事件』
じつはわたし、あまり興味があるわけではなく、事件の全体像や何人の学生が検挙されたとか詳しいことは知りません。わたしが書きたいことはその点にはないので、事件の詳細についてのツッコミはご容赦ください。
ざっくりと事件をまとめると、日本大学のアメリカンフットボール部に所属する複数の学生が麻薬取締法違反の罪で検挙されたのですが、その過程で大学幹部による事件のもみ消し工作が企図されスキャンダルとなっている――って感じでしょうか。
この事件が、メディアの注目を集めるのには理由があります。ここ数年、日本大学ではそのブランドイメージを大きく損なう事件が立て続けに2件起こってるんですよね。1件目は、日大アメフト部の部員による悪質タックル問題で、2件目は、日大附属病院の建替えを巡る背任事件です。
特に、2018年に起こったアメフト部員による悪質タックル問題は、日大のイメージを地に落としたと個人的には思います。アメフト部監督、コーチがパワハラで選手に悪質タックルを強制、相手チームの選手に負わさなくてよい怪我を負わせた「事件」です。当時の日大幹部が、名門アメフトチームの監督、コーチに科した処分が非常に甘いと世間は猛反発。後に発覚する背任事件が大炎上する下地を作ってしまいました。
その2021年、日大附属病院の建替えを巡る背任事件では、当時の日本大学理事長による所得隠し、脱税が判明。同理事長を中心とした日大の体育会系理事による大学経営の私物化が糾弾され、同理事長はその職を追われることとなりました。
――じつはここからが本題です。
日大前理事長の後任として白羽の矢が立てられたのが、現理事長である林真理子さんです。ご存じ方も多いと思いますが、彼女は経営者でなければ教育者でもない、1986年に直木賞を受賞した――小説家です。作家、林真理子が大学経営にどんな手腕を発揮できるのか、わたしはまずそこに興味がありました。
私立大学の理事長というのはお金と権限を、それを求めて集まる欲深い人たちに、こちらには怖い顔で抑えたり、あちらには優しい顔で宥めたりして、分配して回る仕事だと思うんです。作家などという、基本的にひとりで原稿用紙(いまならパソコンか)に向かってする仕事の人間に務まるものか、疑問に思ってきました。
今回のアメフト部薬物事件に対する対応を巡って理事長である林真理子さんも叩かれているようです。ご本人は「就任以来、日大の改革を進めてきた」と言っていますが、その最中に起きた不祥事です。世間の風当たりは強く、理事長としての手腕に疑念を抱かれるのも仕方がないところです。
わたしは日大理事長・林真理子については同情してます。だって、日大(学生数7万人らしいですよ!)のような巨大な組織のトップが入れ替わったからと言って、組織全体の体質が急変するわけがないじゃないですか。変わったばかりの理事長を叩くのは違うと思うなあ。
それよりも、林真理子さんがこうなることが半ば予測できたであろう日大の理事長職(あえて『火中の栗を拾う』ような仕事)をなぜ引き受けたのか。自分ならなんとかできると思えたのか。職を辞した後、どう文章にして発表するのか(書かないはずないと思う)。そういうことに興味があります。
作家のねえ……する仕事じゃないと思うんだよなあ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます