〖KAC20233〗勇者、べちゃべちゃ!

センセイ

魔王会議後

「ねぇ、べちゃべちゃとぐちゃぐちゃの違いって何だと思う?」


会議の後、西の魔王が仲のいい東の魔王に話しかける。


「そりゃぁ、ぐちゃぐちゃにするのは勇者で、べちゃべちゃはこの料理だろ」


その会話が気になったのか、大魔王が口を挟む。

「なるほど〜」と納得しかける2人に北北東の魔王が近づいて、傲慢な態度で言い放った。


「ワシなら、勇者をべちゃべちゃにだって出来るぞ」

「わぁ、凄い!さすが北北東の魔王だ!」


さながら父を見る息子のように、きらきらと北北東の魔王を見つめる大魔王。

西の魔王はそんな様子に疑惑の目で、


「どうやってさ?」


と聞く。


「ワシの森のあの沼があるじゃろ。アレの前に『泥温泉』って看板を建てるとよい」


一同は一瞬良いかも…なんて思ったが、ある重大な事実に気づいた。


「お前んとこ、勇者がまだ無名の時に通り過ぎたよな?」

「だよな?…『始まりの村』の隣だし」

「でも『始まりの村』なんて、変な名前だよね〜」

「む」


すっかり『村トーク』になってしまって拗ねる北北東の魔王。


「ま、ワシは倒されておらんがな」

「え?忘れたの?最初のダンジョンにボスが居ないって、勇者困ってたじゃん」

は無いわなー」

「むむむ…」


結局、強がって自分で自分の地雷を踏み抜いてしまってしまい、そんな北北東の魔王は唸ってすっかり大人しくなってしまった。


「やっぱ、勇者はぐちゃぐちゃだよな」

「うんうん。それしか無いよね」

「死亡フラグは立ちやすいけど、仕方ないよね」

「うんうん」


すっかりほんわかした会話に戻る魔王達。


「このみどりいろのべちゃべちゃも、美味しいよね」

「異世界から来た料理なんだって。材料はカラフルらしいよ」

「へぇ〜」


そんな時、慌てた魔人から一本の電報が。


『やばい!勇者が始まりの村の前で、べちゃべちゃになって死んだ!』


北北東の魔王以外の魔王達はそれを聞いて、何だかやるせない気持ちになった。

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