なんとかなる

さくらりんご

第1話 最悪

その時のわたしは最悪だった。


わたしの家は小さなレストランをしていた。


ある日突然店に閉店の張り紙をし両親は借金を残して居なくなり音信不通になった。


付き合っていた彼とは3ヶ月前に別れ、

仕事はコロナで減り…


何もかも上手くいかずに

『わたし、そんな悪いことした?』

と天を見上げて自分に自分で問いかけている毎日だった。



家は銀行の担保になっていた。


家がなくなったわたしはアパートを借りた。

引っ越し代や敷金、礼金、家にあった家電や家具は古かったり大きすぎたりして

あまり持ってこれなかった。

いろいろお金がかかった。


貯金があっという間になくなった。




彼とは5年付き合った。


別れた原因はわからない。

なんとなく…

彼からの連絡が減り、わたしも連絡するのが面倒になり…

問い詰めなかった。

最近一緒にいてもつまらないとわたしも思っていたから…


『別れなさい』

と誰かに言われている様な気がした。


そういうタイミングだったのだろう。


とはいえ、大学3年の夏から5年も付き合ったのだから寂しかった。

ちょっとだけ泣いた…

いや、かなり泣いた。




仕事。

これは自分ではどうにもならなかった。


わたしは旅行会社で営業をしていた。

世界中、旅行に行く人など誰もいない…

いうまでもないが会社が潰れるのではないかと思うほど仕事がなかったし、できなかった。


コロナが落ち着き少しずつ仕事は戻ってきたけど前ほどじゃない。

というより内容が変わったというべきか…

あまり面白味を,感じなくなっていた。


悪いことが続き、神様はなんでこんな意地悪をするのかと思った。


『なんとかなる』

そう思うしかなかった。


ただそういい聞かせて毎日を過ごしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る