第6話 中島みゆきが歌う「悪女」について
以下、述べる話題は、これまでもネット上などで、しばしば論じられてきたことであり、いろいろな意見があることは承知していますが、筆者の疑問を、ここに書かせてもらいます。
「悪女」の今の状況としては、一人称の語り手の女性(仮に「A」とする)は、「あなた」と半同棲状態にあるが、「あなた」の心は「あの娘(こ)」の方へ傾いていっている。Aは、「あなた」をまだ愛しているのに、誰のためか、強がりながら、誰にも影響されない、自分なりの遊び方を知っていて、必ずしも「あなた」を必要としない「悪女」になって(「悪女」であると装って)、「あなた」を「あの娘」に渡してあげた方がよいかと悲しみの中、思い悩んでいる。思い悩んでいるが、多分「あなた」が「あの娘」の方へ流れていくことを許してしまうことになるのだろう、というのが最大公約数的な解釈だろう。
さて、筆者が疑問に思っていることは、冒頭に、友人のマリコの部屋へ電話をかけて、男と遊んでいる芝居を続けてきたが、マリコも、割と忙しいようなので、そうそう付き合わせるわけにはいかない、というくだりがあるのだが、これはどういう状況で電話をしているのか、ということだ。
A自身か「あなた」の部屋の電話または公衆電話(この歌が作られたのは、スマホ、PHSがまだ出現していない時代。かろうじてアタッシュケースくらいの大きさの携帯電話はあったかもしれないが、持っている人はほとんどいなかった。)で、「あなた」の目の前でかけているのか、それとも、「あなた」のいないところで、男と遊んでいるようだ、という噂がマリコやその周辺から何となく「あなた」に流れることを意図しているのか。
ただ、どちらにしても、虚勢を張って、遊んでいるようだというメッセージが「あなた」に伝わることを意図している、という点では同じなのかもしれない。(了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます