夢ならいいのに
桔梗 浬
前編 泥まみれ
「わぁ~い♪」
「
どうしてもお出かけしたいという娘を連れて
公園は雨上がりということもあり、人影はない。
『
何度読み返してもうれしくて、顔がにやけてしまう。罪悪感がないと言えば嘘になる。この罪悪感がたまらないのかもしれない。それに…、
「パパ~。見てぇ~。これ拾ったの~。」
娘の
「なんだい?」
「う~ん何だろう?パパ分かる~?」
それは
「
「あそこ。」
「
「えへへ。」
ぐちゃっ。
いやな音と足の裏に広がるぬちゃ~とした感覚。
だが、この時の
- さて…、何て
家に帰ると案の定、
「私だって疲れてるんだからね。あーもーっ掃除したばっかりなんだから、足拭いてからっ。あー…。」
「すまん。水溜まりが楽しいんだと。」
「もーっ。あなたもお風呂に入って! 何これ? 何か踏んだ? うわっ。くっさい。自分で綺麗にしてよね。私触りたくないからね。」
「放っておけば、水分が飛んでポロッと取れるさ。」
例の気持ち悪い物体を家に招き入れてしまったことに、
翌日から本当に仕事が忙しくなった。家に帰るのは0時を過ぎるのが通例となり、
風呂に入り
あの日のスニーカーはまだ泥だらけで玄関に放置されているし、洗濯物は畳まれることなく、ぐちゃぐちゃの状態で山積みにされていた。昔はこんなんじゃなかったのにな。と
眠れないから
金曜日。
『今夜は帰れそうにない。ごめん。仕事終わらない。』(送信)
終電間際の時間を狙ってメッセージを送る。メッセージは既読になるが
狭いベッドの中で二人とも生まれたままの姿でいられることが幸せだと感じる。ここは居心地がいい。
「ねぇ〜。奥さん大丈夫?」
「あぁ、俺がいてもいなくても同じだよ。それより俺がここにいると彼氏が遊びに来れないんじゃないの?」
「
翌日も、その翌日も
『しばらく帰れそうにない。ごめん。』(送信)
「ねぇ、そろそろ家に帰った方がいいんじゃない?
「大丈夫だよ。昨日昼に一旦帰ったし。」
「ふ〜ん。家には帰ってるんだ〜。」
そして
「ねぇ〜
「えっ?見たいの?」
「どんな顔してるのかな〜って思って。悪趣味かな?」
「いや。
「
「そんなものはないよ。ただ子どもの写真とかもあるから、その…。」
それも見たい!と
「ヘェ〜何これ。ウケる。私ってこんな顔するんだね〜。」
「あ、それ。それいいだろ?」
「じゃ〜これ、
そんな
「山田くん、よろしく頼むよ。」
「はい。では弊社から御社の都市計画について、セキュリティシステムの提案をさせていただきます。」
「早速ではありますが、弊社のセキュリティシステム
出だしは好調だった。誰もが
な、なんだ?
『ハァ…ハァ…』
「な、なんだ? す、すみません。資料が間違っていたようです。」
「山田くん!モニター切って。ドキュメントを閉じるんだ!」
上司の声が聞こえる。だが
「やめてくれーーーーーーーーーっ」
『スキ ナンデショ? ナゼ、ヤメナケレバ ナラナイノ?』
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