村長さんとお武家さま(参)ぐちゃぐちゃ

ひぐらし ちまよったか

第1話

「――お武家さまぁ『ぐちゃぐちゃ』ですって!」


「誰が考えるのかのう『ぐちゃぐちゃ』だなんて」


「いやぁ、イヤなのが来ちゃいましたねぇ」


「そうなのかい? わしの尊敬する女流作家先生は『概念系キターッ!」と、大はしゃぎじゃったぞい?」


「ああ、あの『踊らにゃそん、そん!』の先生ですね? 相変わらず……」


「こ、こ、これっ! それ以上は言うてはならぬ!」


「あ、はい。失礼しました……でも先生が『概念』っておっしゃる通り『ぐちゃぐちゃ』は謎かけに、しづらいんですよぉ」


「うむ。モノの様子を現わす言葉じゃからのう」


「たぶん文字遊びみたいになっちゃいますけど、イイですかね?」


「文字遊び?」


「たとえば『ティッシュペーパー』で解く! そのココロは、汚れを落とせば『くちゃくちゃ』になります! みたいな」


「おお? 上手いではないか」


「えへへっ!」


「いいんじゃないか? 文字さえ埋まっていれば」


「まぁ、我々も二年目ともなれば、礼儀も何も『ぐちゃぐちゃ』ですよね」


「うむ、では村長?『ぐちゃぐちゃ』と掛けまして?」


「はい。『カレー運んでたら、こけちゃいました』と、解きます!」


「おいおい、村長? それで『ぐちゃぐちゃ』になりました、じゃぁ、謎かけも何も、そのままじゃぞい?」


「えへへ、まあ聞いてみて下さい」


「そうか? ふむ、では、そのココロは?」


「え~! 具(ぐ)が倒れたから『ちゃちゃ』です!」


「おおっ! ひらがなで読むから分かる『ぐ』と『べ』じゃな! なるほど!」


「えへへっ! 難しいんで今日はココまでです」


「うむ、上出来ではないかの? ワシも先生の話題を出されてしてしまったわい! ひと休みしよう」


「はい! では、少々失礼して……」


「ん? なんじゃ村長、スマホなんか出して、ゲームかの?」


「はい。『ぐちゃぐちゃ』のを切り替えて、『ちゃ』にします!」


「……やるのう、村長」


「えへへ……」

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村長さんとお武家さま(参)ぐちゃぐちゃ ひぐらし ちまよったか @ZOOJON

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