爽やかな朝はGCGCTKGとともに

白千ロク

爽やかな朝はGCGCTKGとともに

 今日の朝食はTKG――つまりは、たまごかけごはんらしい。それも、たまごかけごはん専用の醤油と焼鮭も揃っているようだった。あとお茶ね。


 締切明けの母さん曰く、卵焼きを作るのは力尽きたらしい。なるほど。まあ、たまごかけごはんは好きだから全然構わないけども。


 母は小説家を生業とし、父も父で小説家である。お互いに書くジャンルは異なるが、ヲタク同人時代からの友人だという。だからなにが大変かをお互いに深く理解出来ており、自然と結婚に至ったようだ。


 私が生まれて十七年だけれども、第一線を歩き続けているのはすごいよね。締め切りを守るのが第一らしいが、自分で決めたにもかかわらず、課題の締め切り破り常習犯な私には無理も無理な話ですわ。半泣きで纏めてやるのが私です。直したいと思いつつも、いつまでも直りません。


 母さんと私は小皿にたまごを割って、軽く混ぜてから醤油を足して更に混ぜていく。父さんはよそったごはんの真ん中に窪みを作ってそこにたまごを割り入れ、醤油を垂らしてぐちゃぐちゃに混ぜる。家族であっても、たまごかけごはんの作り方は違うらしい。まあ、母さんと私も混ぜたたまごを窪みに流し入れてぐちゃぐちゃに混ぜるんだけど。この音がまた食欲を刺激するんだよ。


 料理は家庭によって、味も作り方も違うから面白いんだよねー。焼き魚の塩加減も違うでしょ?


 行儀は悪いが、我が家ではたまごかけごはんは搔き込んで食べている。私としてはこれが一番おいしい食べ方なんだよな。


 ぺろりと食べ終わった朝食の後はそれぞれの行動に移った。父さんは朝食の洗い物、母さんは仕事場兼自室へ。そして私は身支度を整えてから学校へ。


「いってきまーす!」


 奥からの「気をつけてな〜」という父の声を背に受けながら家を出つつも、お昼のお弁当はなにかな〜と考える。


 私は色気より食い気なんだよ。お弁当のおかずが気になるのは当然。ご飯は味ご飯でも問題ないんですよ?


 ――まあ、楽しみはお昼までとっておきますが。




(おわり)

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