異世界編 魔王エビルヴォス戦 バトルシーン

竜翔

話の一部 魔王との戦い

(――――――――――――――――――――――――――――――――)

息をのむ。眼下に存在するのは漆黒の刺々しい鎧をまとったなにか。

それが魔王であることは本能で嫌というほど細胞のひとつひとつまで刻まれている。

「――――――――」

言葉が出ない。相対する魔王もしかり、玉座に鎮座したまま微動だにしていない。

だが決定的に違うのは、≪≪俺は恐怖で言葉が出ないのに対し魔王は俺など歯牙にもかけていないという事≫≫

これが、すべての元凶。諸悪の根源。魔力を流出させ俺の世界にダンジョンを作った存在…。

だが、恐怖は感じるのに殺されるという感覚はない。その理由を即座に理解した

魔王≪コイツ≫は虚ろなのだ。俺に意識が向いていないのではない。元々自意識というものがこいつに存在していない。荘厳な鎧をまといながらもその実中身はがらんどうだということは目測で理解できた。

背にある大剣を手にかけ構える。だが魔王は依然として動くことはない。

―今がチャンスだ。そう思い足を一歩踏み出した瞬間

魔王の手が動いた。とっさに踏み出した足を蹴り上げ後退する。

動いた手には指輪があり両手合わせて都合10個、十指にすべてはめ込んである

その人差し指を魔王は親指で押さえ、関節を折る。パキンっと音が鳴った

瞬間

周囲に業火の柱が展開され輪を象った円陣が俺を中心に収束し

逃げ場のない炎の柱が俺に向かって襲い掛かる!!!!

立ち昇る炎の柱は集約され一本の柱となりその大木めいた炎柱は想像を絶する熱量で俺を蹂躙する!!!!

「かっ――――――――――――」

もはや痛すぎて声が出ない。意識が持っていかれる。焼き尽くされる。

たった一撃、奴は不動で敵を排除できる。たった一撃で俺の労苦は水泡に帰す。

その現実を切り伏せるように痛みに悶える絶叫の代わりに俺は鼓舞の咆哮を上げる

「なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!」

炎柱によって噴水のように打ち上げられた体躯をきりもみ直下にある攻撃に向け大剣愛染の斬撃を繰り出し剣圧でかき消す。だが…

すかさず奴は再び人差し指の関節を鳴らし、熱量を増加させる。かき消した炎柱から再度先ほどの比ではない炎柱が噴出した。

「がぁあああああああああああああ!!!???」

焼ける、焼ける、爛れる、爛れる、燃え盛る炎はまったくの容赦なく俺の体を細胞の一つ残さず焼き尽くそうと勢いを増していく





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

  異世界編 魔王エビルヴォス戦 バトルシーン 竜翔 @RYUSYOU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る