紙とペンと大人と子供
136君
紙とペンと大人と子供
「起立、礼。」
『お願いします!』
「着席。」
学生なら誰しも憂鬱に感じるだろう。この50分に意味はあるのかと。
意味がある授業もあれば意味が無い授業もある。例えば先生のつまらない雑談だけの授業。これには意味が無い。また、ただ教科書に忠実に進めていく授業。これにも意味が無い。意味がある授業といえば、通常の授業に加えて雑学が混じる授業くらいだろうか。こんな授業をしてくれる先生なんかほんのひと握りしかいない。
そして、これは意味が無い授業。とはいえ、平常点に関わるから少しは起きておかないといけない。えっと、ここのmolを求めるには…
ここで欠伸を1つ。
先生によっては欠伸をするだけで注意する先生もいるのだが、ほぼそっちの責任だろって言いたくなる。この先生はそんなのはスルーだが。
えっと、答えは0.065mol/Lか。よくある答えだな。周りはまだ解き終わっていない感じか。
実際この時間が1番苦行だったりする。こういう時間が伸びる度に眠気がどんどん押し迫ってきて、気づけばコテンみたいなのがオチだ。
それはさておき、どうにか耐え抜いた俺は、
「それくらい分かるわ。どんなけアホやと思うてんねん。」
と言いそうになるような解説を受けて、先生の説明コーナー。公式とかは一応メモっといたほうがいいからな。αmol×βL×価数=…
やべっ!落ちてた。はぁ、今回はまだ早く気づけたから良かったけど。
もう一度続きを…
ダメだこりゃ。文字を見ただけで眠気が迫ってくる。睡魔の『魔』の所以はここからなのかな。
ふぅと息をつき、次の問題へ。普段なら何ともない問題だが、今日は…えっと…ここがαに当てはまって…ここはβかな…
「起立!」
そんな声がして目を覚ますと、みんなが問題集を閉じて立ち上がっていた。時間は1時55分。
「随分寝たな。」
ミミズが行き交うノートを見て、俺は大きく伸びをして立ち上がった。
紙とペンと大人と子供 136君 @136kunn
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