第3話 この世界とは
「さて、食べ終わったし脱獄の方法だけど」
「ゴクリ・・・」
「今のままの君だと脱獄出来ません」
「え」
「ただでさえ強い看守がいるのに力のない君が戦える訳がない、そこで、君に戦い方を教えよう!」
「おお!・・・戦い方?」
「まあまずはこの世界について教えよう。ここは知っての通り死者の世界、現世で死んで肉体から魂が抜けてここに来る。魂が唯一生きていける世界なんだ」
「魂は自分のイメージそのものであり、自分の想像した通りに形を変える。こんな感じに」
そう言うとミロクは黒い布みたいにヒラヒラした体になった。
「うお、干されてる洗濯物みたいだな」
「てな感じで魂は肉体に縛られていた時よりも自由になんでもできる。そして魂は、この体を構成する魂力(エネルギー)と心の強さを表す気力と精神の3つでできている。さっきやったみたいに、僕は魂力を使って自分の想像した姿を作ったんだ」
「それの応用で魂力を体の外に出して、剣をイメージすれば…」
目の前になにもないところから剣がでてきた。
「すご」
「というのがざっくりとした魂の説明」
そのあともこの世界の説明をしてもらい、説明が終わり、いろいろと試そうとしているところでまた地獄が始まった。
ということで、一番死にたくなる<水難の罰>を受けているところである。
溺れながらも、先ほど聞いたミロクの話を思い出す。
「ルクト、地獄の罰は辛いかい?」
「今すぐにでも地獄から逃げ出したいくらい辛いし、痛いし、苦しい」
「痛いか、肉体があったころの君には、神経があって痛みがあったかもしれないけど、君は今は魂だ。魂にそんなものはない」
「ーー?」
「簡単に言うと、その痛みはただの思い込みで、地獄でそう思い込まさせるようにしてるだけなんだよ」
「はあ?いやじゃあ今までの痛みは自分で勝手に痛いものと想像してただけってこと?」
「もうちょっと具体的に言うと痛みを感じるように精神攻撃の呪いみたいなのがある感じだけどね」
「痛みの無くし方は、体に来る痛みを無いと心でひたすら思い込み続けるだけだよ。ルクトの強い魂なら大丈夫さ」
「く、苦しい、」
まだまだ苦しいが、前よりは痛みが減っている感じはしている。
そして、時間が過ぎ、いろいろな地獄を経て、痛みや苦しさが感じなくなっていた。
「え、もう痛みを無くせた?!すごいな~」
驚いた顔をしながらミロクは、シチューを渡してくれた。
「あぁ、思ってた以上にこんなに簡単だとは」
よだれがこぼれそうになりながら答え、シチューを一口、本当においしい、何か隠し味でも入っているのだろうか。
「このシチューめちゃくちゃ美味いけど、隠し味でも入ってるの?」
「ふふ、さすがルクト、いい味覚してるね」
「隠し味は、思いさ、"おいしくなあれ"と思いを込めて作れば作るほど美味しくなるんだよ」
「…なるほど、思いか」
この世界では、イメージすることが大事だと聞いていたけど、料理の味にも関わるとは、思いがすごい込もった料理だったんだのか。
思い、思いね、料理を味わいながら考えていると前からあった疑問を思い出しミロクに聞いてみることにした。
「そういえば、なんだけど、ミロクってもしかして女性?」
「ん?よくわかったね、どちらかというと女性かな。まあ、この世界での性別なんて、死ぬ前の体がそうだったからという理由でそうしてるだけだけどね。魂も生前の体に一番馴染んているものさ」
そうだったのか、女性、、、男かとおもっていたーーーー
なんかあれだ、うん、そのあれだ、落ち着け
確かに死んだあとの魂の世界なんて性別はあってもなくても関係ないし、だとしても、家族以外の女性が作った料理を食べたのは、初めてだ。
「さて、痛みもなくせたことだし、次の修行をしようかな。」
「と言いたいところなんだけど、実は厄介な看守がもうすぐいなくなるらしくて、ものすごく脱獄のチャンスなんだ」
「看守?鬼のこと?」
「いや、あいつら鬼はただの見張り。看守は、僕たちと同じ人で、魂を変化させて戦うことができるやつらさ。」
「それはやばそうだ、もう逃げるのか?早すぎない?」
「そうだからこそ、これから作戦と戦い方を教えるよ」
そして、この地獄から逃げ出すときが来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます