ケーキまみれ
ヤッキムン
おいしいとこ持っていった
ボクは小学5年生。
走るの好きで、クラスでも3番目に速い。
いちばん速いのは、ケーキ屋さんの池脇くん。
池脇くんは、背はちっちゃいけど、走るのめっちゃ速い。
ある日、担任の先生に
「来週お楽しみ会をやるから、好きな友達と組んで、みんなの前で披露してね」
って言われた。
ボクは池脇くんのこと大好きだから、自然といっしょにやることになった。
何か、お芝居をやろう!ってことに。
対尾くんって子は、お芝居の台本を書いちゃう子だから仲間に引き入れた。
そして、亀松くん。
亀松くんは、クラスの学級委員をやる子で、小学5年生なのに、普段からめっちゃ正義感に強い。
自分の強い信念を持っている。
そういうところは、ボクにはないから、亀松くんって、そこはカッコいいな~って、いつも思ってた。
前にキャンプに行った時、3グループを作るので、亀松くんと、松本くんっていうクラスでいちばん頭の良い子と、ボクとの3人でリーダーになって、それぞれのメンバーを決める時も、亀松くんは、あえて人選しないで、最後に残った子を集めて、亀松チームにしていた。そういう信念のある子。
今回のお楽しみ会のお芝居で、対尾くんの書いてきた台本には、ケーキ屋さんの池脇くんちのケーキに顔をつっこむシーンあって、そこは台本では亀松くんの役だった。
ボクは、亀松くんなら
「こんなこと、できるかよー」
って断るんじゃないかって思った。
そしたら
「ボクやるー」
って言おうって思ってた。
でも亀松くんは
「それ、やるよ」
って引き受けてた。
ボクは
「えーっ!亀松くんも、そういうのやるのかー」
って思った。
対尾くんの台本通り稽古して、本番を迎えた。
亀松くん、大きなケーキに顔を突っ込んだ瞬間
「きゃあああああ」
って女子たち悲鳴や歓声をあげて、案の定、いちばん盛り上がってた。
ケーキで、ぐちゃぐちゃになった亀松くんを見て
「いいな~おいしいな~」
って思った。
ケーキまみれ ヤッキムン @yakkimn
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