第119話 カラーリングと引っ越し
119.カラーリングと引っ越し
「このカラーもいいな………」
引っ越し先の物件は結局は言っていた家に決まった、実際に見に行って立地なども考えて即決だ。
支払いは一括でしても問題なかったのでそのまま払い、今は引っ越し作業中なのだがそんな中俺は【野営地】内で銃のカラーリングを選んでいた。
なぜ引っ越し中にそんな事をしているのかというと。
まず引っ越し作業である荷物の運搬や家具の配置などは全て引っ越し業者の作業用ロボットがしてくれるから俺が何かすることは無い。
した事と言えば引っ越す前に仮想空間で内見したときのワールドで住んでいる家の家具などをデータ化した物を使い、実際に住むならこういう配置がいいなと家具を置いていった。
全ての家具を配置し終えるとそのデータを引っ越し業者に送る、すると引っ越し当日に業者とロボットが来て全ての家具や荷物を運び出してくれてその後引っ越し先の家へと家具の配置までやってくれる。
なので俺自身については引っ越し中はする事が無いのだ。
そこで暇だし何しようかなと考えたところ思いついたのだ。そういえば、今使っている銃って全部そのままの色だけれどカラーリングを変えることも出来るんだよなと。
今まで何故カラーリングしていなかったかというと、そもそもの話しになるのだが俺は銃への興味がそこまで無かった。
【GunSHOP】スキルを手に入れたときは遠距離攻撃の手段が手に入ってよかったなぐらいの気持ちだったし、その後も銃を更新するたび別にこのままでもいいかと思っていた。
それが今になってカラーリングを変える所まで興味が出たのは単純に長く使い続けているから愛着があるし、スキルを手に入れてからFPSゲームをするようになってゲーム内で使えるスキンなどを見ていいなぁと思ったからだ。
そんなわけで今は【GunSHOP】スキルを開いて銃を購入する画面でカラーリングとスキンを選んでいる所だ。
元となる銃はいくつか用意しており、まずはハンドガンだ。
昔からずっと愛用する人が多いらしいグロックを一つとサイレンサーが一体型になった変わった形のハンドガンの2つだ。
それとアサルトライフルは人気の強い銃身があみあみになったシンプルな物。
サブマシンガンはP90とベクターという名前のやつを購入してみた。
後は変わった物としてレバーアクションの銃を買った、ウィンチェスターと呼ばれる形のやつなのだが見た目は近代的なデザインとなっている。
今回ほとんどが少し変わった形の物ばかりなのだがちゃんと理由がある、せっかくカラーリングやスキンを変更して遊ぶのなら変わった形の物の方が見た目がいいかなと思ったのと普段は使わないだろうなという形の銃を買って見たかったって言うのがある。
いつも使っている銃はシンプルな形のやつで何故そう言ったのを使っているのかというとシンプルが故に使いやすいからだ。
変わった形の銃は癖があってそれはそれでいいのだろうけれど、やっぱり普段使いするならシンプルな方が俺は好きかな?というだけだ。
シンプルな物が好きと言っても変わった形の銃が嫌いというわけじゃない、使ってみたいとは思っていた。
なので今回はいい機会になる。
目の前には今回の為に購入した銃がずらっと並んでいる。
「ふむ、やっぱり武器庫みたいなのが欲しくなるな………」
俺も男の子ですから?武器庫のような銃が壁一面にずらっと並んでいて引き出しを開けるとマガジンとかが入っててみたいな、映画に出てくるような部屋に憧れはある。
GPに余裕はあるし【野営地】内にそういった部屋を作ってみるのもありだな。
っと、話しが逸れてしまったが今回の目的であるカラーリングに戻ろう。
カラーリング変更をしようと思ってから初めて気づいたことなのだが購入した後の銃でも一度【GunSHOP】に戻す事でカラーリングを変更することができるみたいだ。
銃の種類を変える事は出来なかった。
まずは一通りどんなものがあるか見ていく。
「やっぱり銃だからか迷彩が多いんだなぁ」
ハンドガンもサブマシンガンもアサルトライフルもウィンチェスターもどれを見ても基本的には迷彩柄の物ばかりだ。
ただカラーリングが多彩で色んな色がある。
中には光っているように見える奴もあって、もはやこれは迷彩という柄のナニカだ。迷彩の効果なんて全くなさそうに見える。
他にもアニメのキャラクターの柄のやつなどがあり、知らないキャラもいるのでこれがオリジナルキャラなのかマイナーなキャラなのか気になる。
色は何種類もあり、パターンも色々とある。基本的な色から艶消しの物やカメレオンカラーなどがありしかもカラーをどこに使用するかとか細かく決めることが出来るのでかなりの沼になりそうだ。
まずは簡単に1色だけのものにしてみる。
「1色は流石に派手すぎるか」
とりあえず赤くしてみたが流石に派手すぎた。
しかもこれ明度と彩度まで決めれるのか。
今度はハンドガンのスライド部分と本体部分で色を分けてスライドを黄色に本体部分を水色にしてみた。
「これはおもちゃ感がすごいな」
かわいい色合いだがこれはおもちゃっぽすぎるか。
次にカメレオンカラーにしてみるがこちらも派手だなぁ、赤と黒にしてみたがハンドガンが艶やかな感じになってしまった。
色合い的にはかっこいいが俺的にはちょっと微妙かな?これは個人的な感性なんだろうけれどカメレオンカラーはやめておこう。
じゃぁ逆に艶消しされた色を選んでみよう、まずは黒にしてみてどんな感じか見てみる。
「ものすごく黒いなこれ」
黒を選んだのだから当然なんだけれど、それでも艶が無いというだけでここまで黒く見えるのか。意外と銃の金属部分のテカリって見た目的に大事なんだな。
「うーん」
「マスター」
そんな感じで1時間ほどあーでもないこーでもないと色を選んでいるとヘレナの声が聞こえてきた。
「どうかした?」
「はい、引っ越し作業が終わりました」
「おー」
引っ越し作業が終わったのか、なら戻って確認しないとな。
カラーリングを選んでいた銃達を【空間庫】へと仕舞う、また夜にでも色を選ぼう。
片づけを済ませたらそのまま【野営地】を出る、出現場所は新しい家にあるちょっとした庭みたいなところだ。
一度家の外をまわり玄関まで戻る。
引っ越し業者は既に片付けも終わって帰ったのか人の気配は無い。
「それじゃぁどんな家になったか見て行こうか」
「はい」
ヘレナを連れて家を見ていく。
まずは玄関扉だ。両開きタイプになっておりかなり広い入口だ、元は探索者の人が建てた家だと言ってたし大きな荷物を運び入れるために両開きになっているんだろう。
玄関へと入るとこれまた広い土間がある、ちょっとした部屋ぐらいの広さは普通にありそうだ。
そして右を見ればガラス張りになっている簡易シャワーが置いてある、ここで一時的に泥などを落とすのだろう、それかペット用にも使えるかもしれない。
左にはウォークインクローゼットになっている収納があり、そこに靴など他の物も収納できる感じだ。
玄関にあがりすぐ右側に扉がある、こっちは車をとめるガレージになっているが俺は車を所有していないので倉庫代わりになるだろう。いや、【空間庫】も【野営地】も【格納庫】もあるし倉庫代わりにも使わない可能性があるな………
まぁ何かあれば使う事もあるだろう。
玄関を入って左を進むと3人ほどが並んで歩けるほどの廊下になっておりそこからリビングへと向かえる。
廊下の途中には収納のクローゼットが2つほどある。
クローゼットを通り少し進むとこの家で一番広い吹き抜けのリビングだ。
右側にはアイランドキッチンがあり大きな業務用冷蔵庫が4つ並んでいる。
ガスコンロも4つ口タイプの物が2つ、それに合わせた大きな換気扇もついている。
キッチンの奥は中庭へと繋がっておりソファなどが置いてあるウッドデッキが見える、その外は芝生だ。
左側を見ると部屋の3分の2ほどを占める一段低くなった地面に埋め込んであるタイプの四角い大きなソファが置いてある、人が2~30人は同時に座れそうなほどでかい四角いソファだ。
ソファの中心はソファと同じクッションで出来た地面で出来ており、ここを内見したときの話しではあの部分はいくつか剥がす事ができて長い机を置くこともできるそうだ。
その机は特注らしく普段はあの地面の下に収納してあるらしく色んな使い方が出来るみたいだ。
この特徴的なリビングを見たときに思ったのはアレだ、大きな複合施設にあるような赤ちゃんが安全に遊べるようにと解放してある場所みたいだなって思った。
座る所も地面も全てが柔らかいソファで出来ているからだ。
ソファのすぐ横にある壁はリビングが吹き抜けになっている構造上かなり広い壁になっているのだがそこへプロジェクターなどを使って大きなテレビとして使えるみたいだ。
そのまま左側を進むと廊下になっておりこの先はお風呂やトイレなどの水回りが集中している。
お風呂へと向かう廊下の途中に2階へとあがる階段があるので上がっていく。
それぞれの個室を一応確認していき見ていく、個室の中で一番大きい主寝室は奥になる。
家が広すぎて主寝室まで行くのが少し面倒な気もするがその辺は大きな家だからこその贅沢だと思おう。
もしかしたらこの先歩くのに飽きて手前の部屋でいいやってなる可能性はなきしにもあらずだが。
あとは2階にはベランダがありここで洗濯物を干すことが出来そうだ。
「これで一通りみたかな?」
「はい」
「うむ、じゃぁアレも確認しておくか」
アレとは何か、この話をするには家を購入する時まで一瞬話しが戻るがまずは現物を見て欲しい。
2階にある部屋の中の1つへと入っていく。
「これかぁ、でかいな」
目の前にあるのは白くつるつるとした卵みたいなカプセルのような何か。
大きさは人間が一人ゆったりと入ることが出来るほど。
これが何かと言うと仮想空間へとフルダイブする際に体への負担を減らしてくれる専用の機械?ソファ?だ。
どうしてそんなものがここにあるのかというと、この家の元の持ち主である探索者の人があげるって言って置いていったのだ。
どうやらこの家を建てた人はかなりのゲーマーだったみたいで色々と機器を持っていたらしい。
ここを売り払って新しい所へと行くからとフルダイブ装置も新しく買いなおしたと言っていた、俺からすればコレ持っていけばいいのにって思うところだが何やら本人からすればこだわりがあるのだろう。
このフルダイブ装置も機種的にはほぼ最新といっていい性能の物で、最初に試して起動した後忙しくなって使う事が無かったので新品と言っていいらしい。
凄い勿体ない気がするが本人がいいなら何も言う事が無い。
初期化も済ませてあるらしいし使うのに問題はないみたいだし今度使ってみようかな?とは思っている。
フルダイブ装置、物語によっては物議をかもしている物だが実際はどういうものかというと小説などで出てくる奴に近いと言えるかもしれない。
使うと内部時間を加速させて現実時間で10分しか経ってないのにゲーム内では1時間みたいなことが出来る。
脳みそに負担がかかりそうな物だがよくわからない技術で大丈夫らしい。
詳しい事は分からない、俺からすればフルダイブ装置による事故がここ数十年起きていないという事実さえあれば使う事に抵抗はない。
一通り見て回ったのでヘレナと一緒にリビングへと戻りソファでゆったりとする。
「家具とかも問題なかった?」
「はい、どれもちゃんと配置してありました」
「そう………それじゃぁ完全に引っ越し完了だね」
「はい」
ここが俺の新しい家か………高校生で家を持つことになるとは思わなかったがまぁお金があるしいいよね?
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