第45話 【フィルテイシア】『ワイバーン』戦 #2日目・3日目
45.【フィルテイシア】『ワイバーン』戦 #2日目・3日目
【野営地】内でお昼ご飯にうどんを食べながらどうやって倒すか考えていた。
『ワイバーン』を追いかけ始める前まではスナイパーで撃てばいいやって簡単に考えていたが午前中の事を考えるとこれじゃぁダメだ、もっとなにか別の方法を考えないと。
そこで考えた結果〝ロケットランチャー〟を使う事にした。
あれ?素材がダメになるから使わないんじゃなかったっけって?それはあくまで俺の想像で多分そうなるだろうという事でしかない、実際に使ってみなければ分からない。
決して追いかけるのがめんどくさくなって追いつけない『ワイバーン』にイラっとしたわけでは無い。
〝ロケットランチャー〟を使うのはいいが問題がひとつあった、それは前回使ったのが【ダンジョンウォーカー】の時だけでそれから使う機会が無く仕様などをよく知らないって事だ。
わかるのは威力があるという事とRPG7のような形のやつだと狙いをつけるのが難しいという事だけ。
【ダンジョンウォーカー】に使ったときは相手が鈍足で動きが鈍いし的としてデカかったので上手くあてれたが今回は相手が空を飛んでいるし距離も離れている。
それでも何発か撃てば当たるかも?当たらなくても『ワイバーン』の意識はこっちに向くだろうしそうしたら迎え撃てばいいやと思った。
そんなこんなでお昼休憩が終わり〝ロケットランチャー〟を買おうと思って【GunSHOP】を開いたのだがそこで思い出した、そう言えば新しい商品増えているんだったと。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:5 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▼
〝ハンドガン〟50GP~▽
〝サブマシンガン〟75GP~▽
〝ショットガン〟80GP~▽
〝アサルトライフル〟100GP~▽
<New>〝機関銃〟7000GP~▽
〝スナイパーライフル〟200GP~▽
〝グレネードランチャー〟3000GP~▽
〝ロケットランチャー〟5000GP~▽
<New>〝ミサイルランチャー〟25000GP~▽
〝爆発物〟500GP~▽
・
・
・
外装:▽
防具:▽
消耗品:▽
気になる項目が他にもあるだろうがここはグッと我慢してもらって今回新しく増えている〝ミサイルランチャー〟の話しをしたいと思う。
【GunSHOP】がレベル5になった事で増えた〝ミサイルランチャー〟という項目、最初は〝ロケットランチャー〟と何が違うんだろう?って思うだけで特に気にしていなかった。
けれど新しく増えているんだし今のうちに調べるかと思って携帯で軽く検索してみたのだが。
〝ロケットランチャー〟とは所謂、弾頭だけがそのまま飛んで行くだけの物。
〝ミサイルランチャー〟とは所謂、弾頭に誘導性能を持った砲弾を使用する物。
もっとちゃんと調べれば違いが分かるだろうけど取り合えず簡単に言うとこういう物らしい。
ちゃんと新しい物が増えたら調べるべきだとこの時思った。
めちゃくちゃ便利な物じゃん………〝ミサイルランチャー〟
ロックオン機能がついているとか今この状況にもってこいじゃんと思って早速買ってみる。
【GunSHOP】スキルの購入画面を開いて〝ミサイルランチャー〟の項目を選んでいく、買うのはもちろんレベル5になった時に増えたEchoシリーズだ。
1番やすくて2万5千だがEchoになると4万もする、それでもまぁ折角だしとおもって4万のやつを買っていく。
次に決めないといけないのは〝ミサイルランチャー〟の種類だ。
どうやら〝ハンドガン〟や〝アサルトライフル〟などと違って〝ミサイルランチャー〟は種類によって弾頭の誘導方式が違っていたりするみたいなのだ。
どれがいいんだろうと思って動画を見たりネットで情報を調べていった。
結果分かったのは〝スティンガーミサイル〟ってのがよさそうって言う事だ。
命中率、誘導方式、携帯出来る事。色んな事を考えるとこれが今のところいいみたい。
というわけで買いました〝スティンガーミサイルEcho〟いかつい。弾は1発1万GPとかなり高い。
一応外した時の事も考えて弾は3発買っておいた、使わなくても今後使えそうだしね。
〝ミサイルランチャー〟本体に4万、弾に3万で合計7万。元々GPが30万近くあったので残り23万ほど。
そう考えるとあんまり消費してないかも?けどまぁあんまり無駄遣いはしないようにしないと。
『ワイバーン』戦に向けて準備している間も、もちろん駿河さんは横でみている。
【GunSHOP】で購入したものが光りになって現れるところとか、それが明らかにミサイルな所とか全部みて何とも言えない顔をしている。
「よし、それじゃぁ行きましょうか」
「は、はい」
それ使うの………?って顔をしている駿河さんを無視して【野営地】から外へと出る。
後は『ワイバーン』を見つけるだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「いた」
『ワイバーン』を探す事数分、結構すぐに見つけれた。
距離としては1キロぐらいかな?わりと近くを飛んでいる。
そんなに近くにいるのに襲われないの?って思うかもしれないが『ワイバーン』からすると人間って食べ応えの無い獲物になるみたいでわざわざ向こうから襲ってくることが無い。
『ワイバーン』的には人間を襲って食べるよりも他の大きな魔物を襲って食べる方が食べ応えもあるし楽みたいだ。
そんなわけでこれだけ近くにいても基本襲われない、でもまぁ『ワイバーン』の機嫌が悪かったりすれば問答無用で襲われるので結局は気分次第にはなるんだろう。
今いる場所はちょうど少し開けているので〝スティンガーミサイルEcho〟を撃つのには問題なさそうだ。
これだけすぐに撃つ準備に入れるなら前回もそうすればよかったじゃんって思うかもしれないが、前回は落とす位置も考えて慎重に進めていたからこそ中々撃てなかった、それに比べて今回は試しなのであまり気にせず見つけたらすぐに撃つ体勢に入れる。
「ふぅ」
息を整えて〝スティンガーミサイルEcho〟を【空間庫】から取り出し、肩に担いで『ワイバーン』を狙う。撃つ前の準備は既にしてあるのですぐにでも使用可能だ。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッと音がなりやがてピーと音が鳴り続ける、こうなるとロックオンが完了して撃つ準備が出来たって事だ。
トリガーを押して発射する。
ボシュっとまずは軽い音がして少しの推進力を得て前にでる、そして数メートル離れた場所から一気に爆発的な推進力が生まれてミサイルが飛んで行く。
なぜ2段階になっているのかというと撃った人が怪我をしない様にだ。
「おぉ~凄いスピードで飛んで行くな」
ミサイルは視覚的に見えやすいからか飛んで行くのがはっきり見えて面白い、しかも物凄いスピードで飛んで行く。
「ギャァァァァ!」
「あ、落ちた」
ボンッと爆発音がして『ワイバーン』が叫びながら落ちていったので慌てて落下地点へと向かう。
「あ~やっぱこうなるか」
落下地点に行ってみるとそこには体の大半が吹き飛んでしまった『ワイバーン』が息絶えていた。
「うん、まぁ分かってたけど分かってよかった」
ミサイルのあたりどころがよければ?『ワイバーン』もうまい事素材を残したまま倒せるんだろうけれど運の要素が強すぎるし、そもそもこれって黒字になるのか?
気になったので『ワイバーン』を【GunSHOP】の売却画面で売ってみる。
「6000か………赤字だな」
この状態でも1匹で1万超えてればやってもよかったがこれじゃぁとてもじゃないが〝スティンガーミサイルEcho〟を使った『ワイバーン』狩りはダメだな。
折角買ったけどしょうがない、いつか出番がまた来るだろう。
そう思い〝スティンガーミサイルEcho〟を【空間庫】内へと仕舞っておく。
「う~ん、どうしようかなぁ」
〝スナイパーライフルEcho〟でワンチャン狙ってみるか?もうこの際落とす場所なんて下が森ならどこでもいい気がしてきた。
でもなぁ数キロ離れた飛んで移動している相手にスナイパーライフルで狙撃なんていくら器用値のステータスが高くても厳しそうだしなぁ。
いっそのこと翼ごと拘束できたらいいんだけど………拘束?
「あるじゃん拘束するやつ」
【銃術】スキルのレベルが上がった時に覚えた【精霊の弾丸】があった。
【精霊の弾丸】
精霊の力が込められた弾丸を生成する。
生成された弾丸には自然の力が込められている。
前回使ったのは【世界樹の花園】で『幻想鳥』を捕まえたときか?あれから今まで使う機会なんてなかったからその存在を完全に忘れてた。
前に使ったときはたしか当たった対象に樹のつるみたいなのが巻き付いてその動きを止めていたはずだ、これならスナイパーライフルで適当に当てていけるかも?
そうと決まれば早速【精霊の弾丸】を使用してスナイパーライフルで使う用の弾を作っていく。
1マガジンほどあれば足りるだろう。
後はちょっともったいないけど【精霊の弾丸】を撃つ用の〝スナイパーライフルEcho〟を買い足す。
撃った後すぐにマガジンを入れ替えればいいんだろうけど万が一が怖いので銃自体を切り替える形にする。
「よし、準備おっけい。後は『ワイバーン』を探すだけなんだけど」
そう思って空を見上げると見える範囲に数匹飛んでいる。
「意外といるんだよな『ワイバーン』」
ここの生態系の頂点に近いのか『ワイバーン』はわりと無防備に飛んでいる。昨日は最初に見つけた1匹だけをずっと追いかけまわしていたがこうやって周りを見ると結構飛んでたんだな………
取り合えず一番近そうな『ワイバーン』を狙い【精霊の弾丸】の入った〝スナイパーライフルEcho〟を撃ってみる。
すこしでも射撃を安定させるために膝立ちになり銃をしっかりと握りこみ撃つ。
「あれ………?」
淡く緑に光る弾丸が真っすぐに飛んで行ったが少しすると勢いを無くし落ちていった。あの感じだと『ワイバーン』に届くようには見えなかった。
「射程距離………か」
スナイパーライフルだからと安易に考えていたがそりゃスナイパーライフルだって有効射程距離という物がある、『ワイバーン』は少なくとも1キロ以上先、下手したら2キロぐらい離れている。
今使っているのはM24 SWSという形のスナイパーライフルになる、そう言えばこれって有効射程距離700メートルとかだっけ?そりゃ届かないな………
今の俺のステータスとかなら1キロぐらいなら何とかあてれそうだが、それでも『ワイバーン』相手にはぎりぎりすぎるかもしれない。
「新しいの買うかー、もう明日にしよう」
〝スティンガーミサイルEcho〟でダメでじゃぁ本命のスナイパーライフルで行くかーって時に出鼻をくじかれた感じがして一気にやる気が無くなってしまった。
こういう時は大人しく休むに限る、まだ2日目なんだまだまだ時間はある。
「駿河さん、今日はもう終わりにして休む事にします」
「分かりました」
駿河さんに声をかけると相変わらず森の陰からスッと出てくる、まるで忍者みたいだ。この場合はくノ一とかになるのかな?
余計な事を考えながらも【野営地】スキルを開き中へと入っていく。
今日はもうゆっくり休んで射程距離の長いスナイパーライフルを調べよう、んで明日本番だ。
一応倒すだけなら〝スティンガーミサイルEcho〟で行ける事が分かったしな。この先の綺麗に倒したいっていうのは完全な自己満足になる。
◇ ◇ ◇ ◇
「よし、やるぞ!」
今日は3日目、気合を入れなおして『ワイバーン』を倒す。
【野営地】内でゆっくりできたのでやる気は十分だ。
さて、問題のどうやって倒すだが、遂にこれに手を出す時が来た。
〝対物ライフル〟だ。
銃の形はバレットM82と呼ばれる物、見た目からして分かりやすく対物ライフルといった物でその全長は1メートル40センチ以上になる、中学生一歩手前ぐらいの子供の大きさと言えばわかりやすいだろうか?めちゃくちゃでかい。
重量も10キロを超えているし、これはどこかに寝転がって撃たないと厳しそう。
もっとステータスが伸びれば立ちながら撃ったりできるんだろうか?
そんな〝対物ライフルEcho〟のお値段は6万GP、弾は10発で1万5千と〝スティンガーミサイルEcho〟より高い。
基本的に消費するGPが多ければ多いほど銃として強い傾向にあるし、ちょっと楽しみ。
まずは射撃体勢にうつれる場所を探す事にする、丘になっていて森の木を見下ろせる場所がいい。それか崖か。
2日目にさんざん『ワイバーン』を追いかけまわした時に色んな場所へいったのでおおまかに地形が頭の中に入っているのでそれを頼りにさがす事にする。
「確か、こっちかな?」
記憶にある地形を思い出しながら歩きだす、もちろん道中の魔物は軽く狩っていき大きく消費してしまったGPへと換えていく。
〝スティンガーミサイルEcho〟を買って〝スナイパーライフルEcho〟を買って今回〝対物ライフル〟を買ったので残り15万GPほどしかない。
今回のダンジョンが始まる時は30万もあったのに既にもう半分だ。
なので少しでもGPを稼ぐために【気配感知】で倒せそうな位置にいる魔物を見つけたら全部狩っていく。
「あったあった、あそこだ」
15万まで減ってしまったGPが18万ぐらいまで戻ったころ丁度よさそうな丘を見つけた。
周りの木よりも高くなっていて邪魔になる木も生えていない。
一応少しでも高い場所で寝転がろうと丘の頂上を目指して歩く、そして着いたらまずは『ワイバーン』を探す、ここからなら遮る物がなくて見つけやすい。
その分向こうからも見えやすい訳だが、今回は平気だろう。
「発見」
【イーグルアイ】を使い『ワイバーン』を見つける、飛んでいる方向が右から左へと流れて行っているのであのままだと狙いやすい。
すぐに寝転がり射撃体勢にうつる。
【精霊の弾丸】が入ったマガジンを差し込みリロードを行う。
『ワイバーン』までは1キロちょっとぐらい、2キロまでは行かないはずだ。今までのスナイパーライフルだと届かなかっただろうけど〝対物ライフル〟なら………
「ギュゥゥゥゥ!」
「よしよし」
肩に強い衝撃を受けると同時に淡く光った【精霊の弾丸】が飛んで行きうまい事目標である『ワイバーン』に当たった。
今回はちゃんと射程距離が足りたようだ。
『ワイバーン』の鎖骨当たりに当たった【精霊の弾丸】は淡く光るとすぐに樹のつるが出現して対象の全身を絡めとった。
物理的に翼を抑えられた『ワイバーン』は飛ぶこともできずに落ちていく。
「あそこか」
大きな音をたてて落ちた『ワイバーン』に急いで近づいていく。
1キロちょっと先なら走ればそんなに時間はかからない。
「まだまだ元気だな」
落ちた現場に着くと『ワイバーン』はまだ元気いっぱいに暴れているが【精霊の弾丸】が効いているのかそこまで大きくは動けていないこれなら近距離で倒せる。
徹甲榴弾を込めた〝ハンドガンEcho〟を取り出しある程度近づいてから頭を狙って撃つ。
「ギャッ………」
頭の上半分が無くなってしまったがこれぐらいなら許容範囲だろう。
「上手い事いったなぁ」
正直ここまでスムーズにいくとは思っていなかったが想像以上に作戦ががっちりはまった。
これなら何匹でも『ワイバーン』を倒せそうだ。
「GPに換えてみるか」
この倒し方ならいくらでも倒せそうだって事がわかったしこの状態の『ワイバーン』がいくらになるのか気になるので【GunSHOP】スキルの売却画面を開いてGPに換えていく。
「まじ………?」
『ワイバーン』1匹、売却画面には3万の文字。
これボーナスタイム入ったか?めっちゃ稼げそう。
「駿河さん」
「はい」
「ちょっと『ワイバーン』狩りまくりますね」
「えぇ………」
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