第20話 次を悩む
5/11 【再生の腕輪】の説明からデメリットという言葉を消して、注意事項とだけしました。
20.次を悩む
「はぁ~昨日はびっくりしたなぁ」
昨日は探索者用の装備が売っている店舗の入っている大型ショッピングモールへ行っていた。
目的は自分が【GunSHOP】スキルで現在使っている銃の他にどんな銃が実際に売られているのか見に行くためだ。
【GunSHOP】スキルで買えた銃は昔にあった古い銃だ、今現在売られている銃はそれよりも素材や造りなどが新しくなっているはずだからどんなものがあるのか気になったのだ。
結果を先に言ってしまうが、あまりわからなかった。
確かに昔の銃と比べて形や素材が変わっているが基本的な造りは変わっていないらしい、銃についてあまり詳しくない俺からすれば正直違いがわからない。
それでも勉強になる事は色々とあった、現代にダンジョンが出来てから今まで実用的ではなかった弾などが新素材によって実用出来るようになっていたりだとかだ。
それこそゲーム中に出てくる銃の弾のように特殊な効果のある銃弾を作れるようになったらしい。
当たったら爆発する弾だとか燃える弾だとか、昔からあるにはあったそうだがダンジョン素材によりさらに効果を上げて実用的なレベルまで引き上げる事ができたみたいだ。
店員さんに色々と話しを聞いてみたが、ほとんど理解できなかった中でもわかったのはそれぐらいだ。
ただ、そんな弾があるって事がわかったので今後【GunSHOP】スキルのレベルアップが楽しみになった。
その他には銃とは色んなバリエーションの形があるのがわかった。ゲームで銃を使ったことがあるしある程度はしっているつもりだったが、それでも想像以上に色んな形の銃があった。
その中でも気になったのはKRISS Vectorという銃とFN P90という銃、変わった形だったのでちょっと欲しいと思ってしまった。
エアガンなどをいっぱい買う人の気持ちが分からなかったが、実際に自分で銃を使うようになって少しずつ色んな銃がほしいという気持ちが湧いてきている。
ただ、今はGPが230しか残っていないので【GunSHOP】スキルでは弾ぐらいしか買えない。
まぁそんな感じで大型ショッピングモールに行っていたのだがそこで新井さんが喧嘩に巻き込まれているのを見かけたのだ。
最初はびっくりした、新井さんはどっちかって言うと大人しい方だと思っていたしああいった問題には首を突っ込まない主義だと思っていたからだ。
新井さんが一人を押さえつけている時に残っていた二人が殴りかかっていたので咄嗟に前にでて二人を殴ってしまい、すぐにやばいと思い新井さんに挨拶もそこそこに逃げた。
「あの後大変だったよ」と後で新井さんから携帯に連絡が来たので謝っておいた。
そして新井さんが首を突っ込んでいた理由だが、一緒にデートしていた相手を守るためだったらしい。
これを聞いたときには新井さんもやることやってんねぇ!って思った物だ。
そんな昨日を過ごして今日はもうすぐお昼になるかなっていう時間帯、探索者交流会が【ダンジョンウォーカー】の出現で中止になったので暇を持て余しているのだ。
暇ならさっさと次のダンジョンへいけよって思うかもしれないがどこに行こうか悩んで調べているのだ。自分の武器と相性のいい所だとか通いやすい所だとか色々条件を考えると決めるのに時間がかかる。
「お?ダンジョン協会から連絡?」
PCで次にいくダンジョンや銃についての動画を見たり調べものをしていると携帯にダンジョン協会から連絡がきた。
中身を見て見るとどうやらあの【ダンジョンウォーカー】騒ぎで倒したトロールの売却と鑑定をお願いしていた腕輪の結果が出たみたいだ。
まずは【ダンジョンウォーカー】であるトロールの値段420万、これを高いと思うか安いと思うか。
そもそもトロールはCランクの魔物だ、一撃が重くちょっとした傷が回復して図体がでかいと言ってもその動きは遅く狩りやすい部類に入る魔物だ。
なので普通のトロールだと売っても60万ぐらいにしかならない。
60万でも十分高いじゃないかって思うかもしれないが、これはトロールがほぼ完全な状態で倒せた場合の売却値段だ。普通はそこに倒した際の傷などがつくのでもうちょっと値段は下がる。
それでも50万はかたいと思う。
ただ50万でも5人パーティーなら一人10万、しかもトロールを持ち帰ろうと思えば収納袋か空間系のスキル持ちがいないと持って帰れない、さらに狩るための日頃からの下準備、武器とか防具とか怪我した際の回復薬など。そこまでして一人10万なのだ。
それが【ダンジョンウォーカー】となったトロールになると750万、しかも〝ロケットランチャー〟で結構破壊されたと思われるあの状態でだ。
どうしてそんな高い値段で売れるのかは知らないが予想は何となくできる。
トロールを倒してから家に帰って詳しく【ダンジョンウォーカー】について調べたのだが、【ダンジョンウォーカー】となった魔物は通常個体より強くなるのはその能力だけでなく素材としての価値まで通常のよりよくなるらしい。
使い道は分からないが値段が高くなったのはきっとこれが理由だろう。
そして次に鑑定が終わったあのトロールからドロップした腕輪。
【再生の腕輪】という名前らしい。
「【再生の腕輪】ねぇ」
PCで【再生の腕輪】を調べてみる。
何々?【再生の腕輪】トロールか宝箱から極稀にドロップする装備で売値はおおよそ2300万ほどってたけぇ!?
効果は装備する事でトロールの特殊能力である【再生】が付与される、切断された腕などをつなげる事は出来ないが軽度の切り傷や打撲などの怪我なら治す事ができる。
しかも今回でた【再生の腕輪】は【ダンジョンウォーカー】から出た物なので通常の物より上位の効果になっていると鑑定結果の報告が来ている。
通常の物に比べて傷の治り方が早かったり、より深い傷でも治せたりするみたいだ。
注意事項としては流れた血までは戻らないのでいくら怪我が治るといっても気を付けなければ出血多量で死んでしまう事があるのと、病気までは治せないという事か。
それでも装備しているだけで怪我が治るならいいアクセサリーだな。
【再生の腕輪】で治せない怪我になるともはやそれは重傷だし探索を続けるどうこうのレベルじゃなくなるだろう。
売る場合は4000万で買い取るとメールには書いてあるが、もちろん売らない。使えそうな装備だし自分で使いたい、それにこういった効果付きのアクセサリーは需要が無くならないので要らなくなったらいつでも売れる。ちょっとした資産みたいなものだ。
なので売るにしてももっと後で本当に必要なくなってからでもいい。
ダンジョン協会へトロールのお金は俺の口座へ、【再生の腕輪】はドローン配達で送ってもらう様に返事する。
「んー!っはぁ、お昼ご飯食べるか」
大きく伸びをして体をほぐす。
因みに、新人探索者である俺がどうやって【ダンジョンウォーカー】であるトロールを倒せたんだとかの話しがすんなり済んでいるのかというと。
わりとこういったことは起きるからだ、もっているスキルと相性がよければ自分よりも格上の魔物を倒せることは多々ある、それが【ダンジョンウォーカー】でも。
まぁそうはいっても多少は事情聴取的な事をされたが、スキルの相性がよかったんですの一点張りでやり過ごした。
何のスキルを持っているんだとかも聞かれたがそこは黙秘した。あくまでも任意の事情聴取で事件性がないから無理に聞く事もできないからだ。
【ダンジョンウォーカー】が新人探索者のいるような階層に出てきたのはある意味事件だが、倒すのは別に犯罪じゃない、なのでうやむやにできるのだ。
そのかわりダンジョン協会に目を付けられたかもしれないがしょうがない、目を付けられたところでなにか不利益があるわけでもない多少気にされる程度だ。
「お昼はうどんかな、とろろ昆布も入れよう」
◇ ◇ ◇ ◇
「ふーむ、結構難しいな」
お昼ご飯を食べ終わってから現在地が変わり今は【野営地】内で射撃訓練をしている。今までは普通に置いた的を使って撃っていたが今日やっているのはドローンの的を使った射撃訓練だ。
訓練用の銃を使って練習しているのでサイレンサーを取り付けていない銃本来の射撃音が【野営地】内に響く。
ドローンを操作するには別売りの専用のコントローラーが必要だが、ドローン5個にコントローラーを買っても70GPだった。
残り少ないGPをさらに減らす事に抵抗が無かったと言えばウソだが、まぁまた稼げばいいんだの精神でいく。
そして何故今ドローンの的を使って訓練しているのかと言えば動かない的を撃つのに飽きたからだ。
DEXの数値が高くなり置いてあるだけの的だとほぼ真ん中に当てれるようになったので変化が無く面白くなくなってしまったのだ。
そこで思い出したのがドローンの的だった。
コントローラーでランダム飛行に設定して撃っているが、これが中々難しい。当たらない事はないが百発百中とはいかない。
DEXの数値が高くなって器用になったと思っていたがまだまだのようだ。
「当たるのは8割ぐらいかー休憩しよっと」
続けて撃っているが思ったより当たらない。
既に数百発は撃っているのでちょっと休憩にしようと【野営地】内の草原に寝転がる。
そしてふと思う【野営地】内に家を建てたが全然使っていないという事に気づいた。
「だってなー」
【野営地】内に家を建てたのはダンジョン内で泊まりになるようなときに使おうと思って建てたが、今のところダンジョンに数日続けて攻略するなんてことをしてないので使い時がない。
今後に期待かなー
何となくステータス画面を開いて眺める。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:22
STR:38
VIT:10
AGI:40
DEX:258
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:3 ▽
<上級>【空間庫】Lv:3
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<中級>【射撃】Lv:5
<初級>【銃術】Lv:3
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:1
新しいスキルである【堅忍不抜】の効果は今のところ実感がない、日常生活でそんなに心を乱すようなことが………あったな、昨日。
そういえば昨日新井さんが絡まれていた?喧嘩で人を殴ったんだった。どうして俺は平気だったんだろう?普通人を殴ればそれなりに心に葛藤があるはずだ、少なくとも俺は人を殴って平気な顔をするような冷徹な人物ではないと自分で思っていたはずだ。
探索者になってから魔物を相手に戦闘しているから?
魔物と人とじゃまったく違うだろう、なのにどうして俺は普段と同じ様に行動できたんだ………?
考えていてちょっとゾッとした、もうこれ以上考えるのはやめよう何だか怖くなった。
次に【気配感知】についてだ、このスキルは普段からある程度発動している。昨日大型ショッピングモールにいってそれを確認した。
あの感覚を何て言えばいいのか、ちょっとピリッとしたぞわっとしたもやっとした物を見られていると感じる。
ちょっと視界に入ったとかじゃそうはならないんだけど、ちゃんとしっかり俺を確認してみているとそういった感覚を覚える。
後は、アクティブに使う方の【気配感知】だが。これは何かあっちのほうにいるなーぐらいの感覚でわかる。
わりとはっきり気配がわかるので今後のダンジョン探索でいっぱい使えそうだ、こんだけ有用ならそりゃ自力習得を推奨されるなと思った。
そしていい加減次のダンジョンを選ぼう。
「次のダンジョンはーここ!」
携帯で次にいくDランクのダンジョンをいくつもリストアップして、ランダムにルーレットで選んでくれるサイトに入力して選ぶ。
「ん~ここか」
ルーレットで選ばれたのは【悲愴の洋館】ダンジョン、建物内がダンジョンになっている変わったダンジョンだ。
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