第8話 外装

8.外装








【野営地】内で訓練用の銃を構え的に向かって数発撃っていく。


「8、10、7、残りは5以下か。やっぱり動画でみたように、撃ち続けるよりある程度で止めたほうが命中率がいいんだな、こればっかりは実際に撃ってみないと分からないところだ」


色々試していくうちに撃ち続けるより少し撃って止めての方が命中率がいい事に気づく。

たしかに見た動画とかでも撃ち続ける事ってあんまりないみたいなこと言ってたような気がする。


昨日は『一角兎』の巣を攻略して疲れたので、今日は休みにしている。学校をお昼まで通い、その後ダンジョンへいく毎日を続けていたので知らず知らずのうちに疲れていたのか目が覚めたときにはお昼を過ぎていた。


遅めの昼食を食べてから。【野営地】スキルで異空間内に入り、稼いできたGPで他の種類の訓練用の銃を一通り買ってみた。


〝訓練用非殺傷サブマシンガン〟〝訓練用非殺傷ショットガン〟〝訓練用非殺傷アサルトライフル〟〝訓練用非殺傷スナイパー〟を触っていき、今はもう一度アサルトライフルを使い的撃ちをしている。


それぞれの銃に特徴があり次に買う銃をどれにするか悩んでしまう。サブマシンガンとショットガンは近距離で使いやすそうだし、アサルトライフルは近距離から中距離、アタッチメントによっては遠距離までいけるし。スナイパーは連射は効かないが一発のダメージが大きい。

贅沢を言うなら全種類揃えていきたいんだがGPが足りない。『一角兎』は安いし全部GPに変えるべきか。


うーん、ここは無難にアサルトライフルを買っておこう。訓練用の銃と弾を買って今の残りGPは190、んで一番安いアサルトで100GPだから残りでアタッチメントを買おうかな?



お気づきの通り、うれしい事に【GunSHOP】のスキルレベルがあがりアタッチメントを購入できるようになった。



<ユニーク>【GunSHOP】Lv:2 ▼


LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼

 武器:▽

 外装:▼

   〝サイト〟5GP~▽

   〝スコープ〟10GP~▽

   〝サイレンサー〟10GP~▽

   〝ライト〟5GP~▽

   〝ストック〟5GP~▽

   〝グリップ〟5GP~▽

           ・

           ・

           ・


 防具:▽

消耗品:▽




スキルに外装の欄が増えていて、これまた種類が多い。細かい部分まで外装の変更ができるようだ。知らない名前が多くてネットで詳しく調べてしまった。

アサルトライフルを買うとしてそれにつける〝サイト〟と〝サイレンサー〟もできれば買いたいな。


元々スキルで買う銃は動画で見たような実物の銃のように大きな音はでない、そうはいっても多少の音がでるので〝サイレンサー〟を使ってみたい。その事によりどれだけの消音効果が得られるかが気になる。


訓練用の銃を【空間庫】にしまっていき〝アサルトライフル〟と〝サイト〟〝アサルトライフル用サイレンサー〟を買っていく。


〝サイト〟はドットサイトでは無く、ホロサイトと呼ばれる物を買ってみた。銃に詳しくないので違いがよく分からないが何となく見た目で選んでいっている。


弾とアサルトライフル用の追加のマガジンも買っていき清算する。

【GunSHOP】スキルで買ったアサルトライフルはTAR-21と言う銃に見た目が似ている。スキルで売っている銃は実在する物を元に作られているんだろうか?



〝アサルトライフル〟 攻撃力:20 耐久値:150

実際にある銃をモデルに作られた自動小銃、モンスターを相手に使う事を想定されていて、人相手にはセーフティがかかり怪我をさせない安全な造りになっている。



〝実弾(アサルトライフル)〟 攻撃力:7 耐久値:20

【GunSHOP】スキルで扱われる自動小銃に使える銃弾、モンスターを相手に使う事を想定されていて、人相手にはセーフティがかかり怪我をさせない安全な造りになっている。

発射された弾は暫くすると自然に消える設計になっている。




いつも通り現れた購入品を確認してから【空間庫】へ入れていく。アサルトライフルにはホロサイトとサイレンサーを今のうちに取り付けておいてしまっておくことにする。


〝サイト〟と〝サイレンサー〟を付けるだけで見た目が凄くかっこよくなった、テンションがあがる。やっぱり見た目って大事だな。



さっきから何回も普通に使っている【空間庫】だが、使いやすくてやばい。もうこれがない生活には戻れないほどに便利だ。

【空間庫】を発動すると【野営地】スキルと同じで黒い渦の様な物が現れる。物をしまいたい場合はそこへ入れるだけで済むし、取り出したい場合は逆に渦に手を入れて取り出したい物を意識するだけでいい。

そんな便利な【空間庫】だが残念な事に内部時間は止まっていないようだった、今後レベルが上がるといつか内部時間が止まったりするのかな?



渦の大きさは入れる物の大きさに自動的に沿って変わるので手間もないのがいい。

ただ、中に入れた物を自分で覚えていないといけないのでその内メモを取ったほうがよさそうだ。今は入れる物が少ないので何とかなっているが。




◇  ◇  ◇  ◇




【野営地】スキルからリビングに戻りソファーへと座る。机の上に置いてあったティーポットでお湯を沸かし暖かいお茶を入れ、ほっと一息。


ソファにもたれかかり考える。



考えるのはこれまでの毎日。

両親が亡くなってから、ずっと無機質な日々を過ごしていた。楽しみなんて無くただ流れていく景色を眺めるように毎日感情の起伏も無く過ぎていく日々。


けれど、Gランクダンジョンで初めて<ユニーク>【GunSHOP】スキルを手に入れてから、順調にここまでこれた。探索者としてはまだまだ見習いや初心者と呼ばれるような段階だが毎日が楽しい。


ゲームで見たような景色に魔物の存在、レベルが上がりステータスが伸びていくことによる強くなったという実感。刺激のある毎日だ。


明日は……食料を【空間庫】に少し溜めておきたいから今のうちにネットで注文しておこうかな?後は災害時持ち出し袋も入れておこう。


後は、思いついたらでいいか。





◇  ◇  ◇  ◇





「さて、今日も【一角兎】を狩るかぁ」


今日からは【空間庫】があるから入るだけ全部持って帰れる。けれどそのほとんどはGPに変えるつもりなのでダンジョン協会へ売却するとしても、結局は手で持って帰れる程度しか換金しないだろう。


あいも変わらず現在地は【静寂の森】ダンジョン。今日は最下層のボスがいる場所まで行くつもりなので、道中〝アサルトライフル〟でどれだけ狩れるか楽しみだ。


ダンジョン内を銃を構えながら歩く、草原には他にも人がいて遠目にだが戦っているのが分かる。ほとんどは2~3人でパーティーを組んでいるようだが、中には俺と同じような一人で来ている人もいるのがわかる。


そんな人達を横目に歩いているとちょうど正面に『一角兎』が現れた。買ったばかりの〝アサルトライフル〟の安全装置を外し、構えてホロサイトで狙い……撃つ。



「おぉ~すごく狙いやすいな、そして音が全くしない」


〝アサルトライフル〟を構えると体全体で銃を抑えてしっかり構えるからか〝ハンドガン〟と比べて安定感が全然違う。さらにはホロサイトでかなり狙いやすくなったし〝サイレンサー〟で銃声が全くしなくなった、パシュっと気の抜けた音がするぐらいだ。撃ってる本人の俺でさえ聞き逃しそうなほど小さい音になっている。


構え方や撃ち方などは動画でみて訓練用の銃でいっぱい練習したので、その成果がでてうれしい。


〝アサルトライフル〟を背中にまわし〝ハンドガン〟を太ももから抜いて軽く構えながら『一角兎』に近づく。

用心しすぎかもしれないがしないよりはいい。


銃を扱う動画を調べていると取り扱い時の不注意による事故や獲物をしとめた後に油断したことによる怪我などの情報が嫌でも目に入ってくる。

そういった物を見ていると色々と慎重に行動しようと自然と思えてくる。


「ん?傷が大きい?」


慎重に近づいてみたが『一角兎』はきちんと倒せてた。しかし〝ハンドガン〟で倒した時と比べて傷が大きい気がする。

〝アサルトライフル〟では威力がある分倒した獲物の傷が大きくなってしまうのかな?


「売却価格が下がったりするんだろうか?」


あまりにも素材がダメになっていると売却価格が下がるのは聞いたことがあるが、一体どこからが売却価格の下がるラインなのかが分からない。

体が欠けていたら流石に値段が下がってしまうだろうし。見た目で明らかに損傷がひどいとダメなのかな?


まぁいいか。

多少売却価格が下がったところで困るような値段でもないしな。

あれ?これってGPの価格も変わったりするんだろうか?


【GunSHOP】スキルを開いて、倒した『一角兎』を売却するといつもと変わらず8GPだった。

これぐらいの損傷なら値段は変わらないようだ。


その内どれぐらいまでなら売却価格が変わらないか調べたいな、心の中にメモしておこう。


使った銃弾を補充して銃に異常が無いか点検をしてから再び歩き出す。

スキルで作られた銃が故障するかは分からないが耐久値っていう数値もあるわけだからなぁ。数値があるって事は何かしら関係があるって事だ。実際この間使った〝ライオットシールド〟は『一角兎』の攻撃でぼこぼこになって使い物にならなくなったし。


「お?またいた」


歩き出してすぐに『一角兎』がいたので銃を構えて撃つ。


「ぷぎ」


「ふむふむ、いい感じだな。この調子でいこう」





◇  ◇  ◇  ◇





「この先がボスか」


目の前には牧場にあるような柵とその入口。フィールド型ダンジョンでは洞窟型とは違いボス部屋はかなり開放的な入口になっている。


周りは森に囲まれており、ボス部屋は森の中にある広場って感じだ。外から中は見えないように霧のようなもやがかかっており正確な広さは分からない。

ボス部屋の前には木の看板が立っておりそこに兎の絵が書かれている。


入る前に装備の点検をして最終確認をする。


〝アサルトライフル〟問題なし〝ハンドガン〟問題なし。防具の留め具も緩んでない。左腰には一応の片手剣。


「よし、いくか」


〝アサルトライフル〟を軽く構えながらボス部屋にかかっている霧を通り抜ける。

視界が晴れるとそこは、くるぶしあたりまで伸びた草が一面に広がる草原になっていて、遠くの方にもぞもぞと動く大きな生き物が見える。


「でっかぁ、なにあれ?え?あれで『一角兎』なの?」


その『一角兎』とは少なくとも50メートル以上は離れているはずなのに、遠目にもその大きさがはっきりとわかる。その大きさに見合った角が生えているので見た目の怖さが半端ない。

体の大きさは恐らく野生の熊ぐらいはある。


ボス『一角兎』は既にこちらの存在に気づいているのか目が合っている感じがする。こちらの方をみて鼻をスンスンさせている。


「ここから狙えるか……?」


〝アサルトライフル〟を構えて照準を合わせて狙う。アイアンサイトでは見えなかった標的の全体像がホロサイトによって鮮明に見えて狙いやすい。


「ぷぎゅ!?ギュゥゥゥゥゥッ!!」


「声こわっ!」


数発撃ってみると銃弾が当たった瞬間その可愛らしい顔を鬼の形相に変えて走り出してくる。ちゃんと銃弾はあたったはずだが気にした様子もなく野太い声を上げて突っ込んでくる。


「こわぁぁぁ!」


びっくりしながらも射撃を続ける。


「ぷぎゅぅ!ぷぎゅぅ!」


「うおぉぉぉぉっしゃっあっぶねぇ!」


正面から突っ込んでくるボス『一角兎』に対して〝アサルトライフル〟で連射しまくったが、食らっているはずなのに気にも留めずにそのまま突撃してきた。

何とかぎりぎりで横へ転がる様に避けれたが、あのままだと大変な事になっていたところだ。


「んむ?」


「ぷぎゅぅフーフー!」


起き上がり振り返るとボス『一角兎』は瀕死状態だった。体全体で大きく息をして何か所も血が出ていて今にも死にそうだ。


銃弾が当たっても気にせず突っ込んできていたように見えていたが実際はかなり無理をしていたようだ。


「ふぅー、いい勝負だったぜ」


狙いを定めるように額の中心を狙い、とどめの一撃をさす。ボス『一角兎』はその巨大な体を揺らしながらゆっくりと倒れていった。


「お?宝箱だ」


ボスを倒したからか少し離れた場所に宝箱が現れた。中身が気になる所だが先にボスの方をなんとかしないと。


ボスはその巨大な体から見てわかる通りお肉もいっぱい取れるし、その毛皮もそこそこの価値がある。大きくて鋭い角なんてそのまま持てば槍にもなりそうなほどだ。


これをダンジョン協会へ売るか、GPへ変えるか。


うーん、まぁここは最初から決めていた通りにGPにするか。そうと決まれば早速【GunSHOP】スキルの売却画面を呼び出し、ボス『一角兎』を入れる。


「売却額は……おぉ25GPか多いな」


普通の『一角兎』が8GPだからボスとはいえ一匹で25も貰えるのはでかい。周回しようかな?

ネット情報だとたしか、一回ボスフィールドから出れば何回でもボスと戦えるんだったっけ?やってみようかな。


「おっと、宝箱忘れてた」


もう一度ボスを倒すかどうか考えてたら宝箱の存在を忘れていた。


フィールドの中央辺りにある宝箱は見た目はそこそこ豪華だ。けど中身が見た目に釣り合ってることのほうが少ないので期待しない。


宝箱に近づき蓋を開ける。


「あ、ポーションだ」


宝箱の中には箱の大きさに見合わない片手で収まるほどの小さな瓶が入っている。これがファンタジー物の定番、ポーションだ。


瓶の色は黄色、六角形で高さは10センチほど。ウィスキーなどのお酒についているような瓶と同じ蓋がついている。

ポーションの側面には数字の0がついており、この数字がポーションの等級を現している。0は初級だ。


数字が上がっていくほどに効果が上がっていき、色はそのポーションの効能でわかれている。

今手に入れた黄色はスタミナ回復。赤色が傷治療。青が病気治療。


他にも種類があるがそんなの手に入るのはもっと高ランクになってからなので気にしない。


「売っても数百円だし、飲んじゃうか。う~ん元気ハツラツ?って感じ」


低ランク帯のポーションは基本的に売ってもジュース代にも満たない事が多いのでその場で使う事が当たり前になってる。


飲み切ったポーションは砂が手のひらからこぼれるように消えていく。消える際の感触が何とも言えない。すごくさらさらの砂を持っていたような。けどすぐにその感触が消えていく感じ。何とも言えない。


「よし、じゃぁちょっとボス周回してみるか!」
















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