不恰好なオムライス

ノツノノ

不恰好なオムライス

一人暮らしの男の部屋から叫び声が聞こえる、何かに迷っている叫びだった。


その部屋に住む男は


「なにを作ればいいんだ…」


人生初の彼女の為に作る料理を考えていた。

初めにネットで調べ、パスタが好まれると知った男はカルボナーラを作ろうとした、が


「失敗、するとは…」


それはそうだろう。

この男は料理らしい料理をしたことがない。一人暮らしのため軽い自炊はしているが、おにぎりを握ったり、塩胡椒をつけて焼いたりする程度。


「まずは掃除か?いや、もう時間がないな…」


失敗し、信じられないほど汚れたキッチンを見て片付けを先にと思ったが、約束の時間まで残り30分だった。


「はあぁ…」


大きい溜息、こうしている間も時間は減り続ける。


「おにぎりに、いやでもなぁ…」


人生初の彼女だ、少しでも自分を良く見せたい、その一心でどうするべきか考える。


考えて、考えて…


〜約束の時間〜


迷った結果は

完成したのは少し不恰好なオムライス、卵に穴が空いて少し焦げている。


ピンポーン


「いらっしゃい、迷わなかった?」


「大丈夫だったよ」


やはり可愛い。

顔がニヤけないよう、力を込め部屋に案内する。


「あ、オムライスだ。作ってくれたの?」


「あ〜うん、少し失敗しちゃったけど…」


今日の予定だが、夕飯を食べてから泊まりで一緒に大学の課題をやる。


「まさか作ってくれてるとは、予想外です」


「え?」


「私はてっきり一緒に作るのかと」


男は後悔した。

初めての共同作業できる機会を逃し、頭を抱えて転がりたい程だ。


「今度は一緒に作ろ?」


「ぜひよろしくお願いします」


2人でオムライスを食べる。

慣れていない料理、味が少し薄かったが

彼女は笑顔で美味しいと言ってくれた。


「片付けはやるから大丈夫だよ」


「ほんと?ありがとう」


さて、掃除するか…

笑顔みれたし、これぐらいどうって事ない。


男は少しだけニヤけながら、ぐちゃぐちゃになったキッチンを片付け始めた。

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