ボディーガード鬼塚
鬼塚のボディーガードとして過ごす最後の日。牡丹は徳島駅の前で演説を行った。
「私、金長牡丹です!皆さんの味方、金長牡丹です!」
そう挨拶した牡丹は
「私、金長牡丹はこれまでより人間と妖怪達が手を取り合って時には助け合う社会にしていきたいです!」
公約を掲げた。
だが、すぐ事件は起こった。
牡丹の演説を母親と聞いていた幼い男の子は空を指差し、
「あれはなんだろう…」
男の子の指差す方向に気づいた母親はよく見た。それはドローンだった。しかし、ドローンは真っ逆さまに牡丹の真上に落ちそうになった。鬼塚は猛スピードで牡丹の元に行き、庇った。だが、ドローンが落ちた先は牡丹の頭上ではなく、庇っていた鬼塚の上にだった。同時に鬼塚はその場に倒れた。
演説を聞いていた聴取者達は悲鳴をあげ、牡丹と白鳥道子は鬼塚の体を揺すり、
「鬼塚さん!鬼塚さん!しっかり!」
だが、鬼塚は何事もなかったようにむくっと起き上がった。
「あー!びっくりした!」
鬼塚は頭を摩った。
「鬼塚さん?なんともないんですか?」
牡丹は不思議そうに聞いた。
「そうだ!僕は石頭だったんだ!あはは」
鬼塚は笑った。
「え…石頭」
白鳥道子は引いたが、
「あはははは!なんて愉快な人なんだ!鬼塚さん、無事でよかったですよ」
牡丹は笑って鬼塚の無事に安堵した。
しかし、3人の目の前を怪しい男が走り去って行った。
男に気づいた鬼塚は追いかけて行ったが、男はすぐ鬼塚と警察に捕まった。
後に鬼塚と牡丹は警察から男の目的は牡丹を殺し、人間社会から妖怪を追い出すつもりだった。そのために、男はドローンを飛ばして牡丹の頭上を狙って落下させようとしていた。
また、男は牡丹が鬼塚ら何でも屋に依頼する数ヶ月前から牡丹をストーカーするなどしていた。
翌日、鬼塚と牡丹、白鳥道子は徳島県は東京に戻った。
その足で何でも屋に行き、牡丹と白鳥道子は鬼塚にお礼を言った。
「鬼塚さん、ありがとうございました」
「いえいえ。礼には及びません」
「また利用しても大丈夫ですか?鬼塚さん頼りになるし」
「勿論」
「ありがとうございます!」
そう牡丹は言うと白鳥道子と共に何でも屋を後にした。
その様子を見た伊万里達は不思議そうに見ていた。
「鬼塚さん、何か牡丹さんとあったんですか?」
伊万里が聞くと
「うーん!ちょっとね!なんか友達ができたって感じかな」
鬼塚はルンルン気分で自分のデスクで作業をした。
「友達って…」
本郷が呟いた。
「牡丹さんって宝塚の男役みたいな人なのに鬼塚さんと意気投合するとか…」
と一華。
「変態ですね」
伊万里は即答した。
「変態?」
一華は尋ねた。
「だって鬼塚さんみたいな人の友達とかってよっぽど変態じゃないとなれませんよ」
伊万里は興奮気味に話した。
「皇さん、変態って言わないの〜」
鬼塚さんは作業しながら言った。
「地獄耳」
本郷は引いた。
こうして長かった徳島での依頼を終えた。
鬼塚達はその後も相も変わらず依頼を受けていくのだった。
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