人間関係

押見五六三

全1話

 私はみゆきの事が好きだ。

 彼女もたぶん私の事が好きだろう。

 何故なら毎日キスをし、毎日一緒に風呂に入り、毎日一緒に寝ているのだから。

 彼女には名前だけの伴侶が居る。

 伴侶の名はかおる

 かおるとの夫婦仲は非常に悪い。

 当然だろう。

 みゆきには彼女がいるのだから。

 かおるという伴侶が居ながら、みゆきは別の女と浮気しているのだ。


 因みに私はかおるも好きだ。

 たぶん彼も私の事が好きだろう。

 何故なら私は彼からお小遣いを貰い、たまに一緒に遊びに行っては、彼の腕に抱かれているのだから。

 実は彼にも彼氏が居る。

 みゆきという伴侶が居ながら、かおるは別の男と浮気しているのだ。

 みゆきは名前だけの伴侶なのだ。

 夫婦仲が悪いのは当然か。


 みゆきかおるもお互いに自分の浮気はバレていないと思っているようだ。

 けど、私はどっちの浮気も証拠を握っている。

 いちゃついている現場を見たし、電話の会話も盗み聞きした事が有るのだ。

 私が子供だからと油断したのだろう。

 そうだ。

 みゆきはママ友と、かおるは会社の同僚と恋愛関係に有る。

 私だけがその事実を両方知っている。


 正直ぐちゃぐちゃだ。

 愛とか恋とかは人それぞれだし、自由だろう。

 だが、ちゃんと与えられた責任だけは最後まで全うしろよ。

 私は玩具じゃない。

 私の存在を忘れるな。



勇気ゆうき!学校遅れるぞ!」

「分かってるよみゆき


 私はみゆきの作った朝ごはんを食べる。

 かおるは既に仕事に行ったようだ。

 かおるは最近、みゆきの作った朝食を食べずに仕事に行く。

 会話もしていない。


 私は両親の事をパパ、ママと呼ばず、名前で呼んでいる。

 ジェンダーの意味を理解しているから。

 私にはこれが当たり前だから気にはしていない。

 だからどうか、私が大人になるまでは2人とも離婚しないでくれ。

 私は本当に2人とも好きなんだから。


「ごちそうさま」


 私が鞄を持って玄関に行くと、いつもどおりみゆきが頬にキスをする。

 扉を開けると私の友達……いや、恋人がいつものように迎えに来てくれていた。


〈おしまい〉


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人間関係 押見五六三 @563

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