わたしのぐちゃぐちゃな愛
だら子
第1話
こんな気持ちになるなんて。
恋はわたしの気持ちをかき混ぜてくる。
高校生の恋ではわからなかった。
身体が溶け合う感覚を知らなかったからだろうか。
あの幸せ。
一つになって身体に侵入される感覚が、気持ちをぐちゃぐちゃにさせるのだろうか。
独占したい。
わたしだけのことを考えてほしい。
同じ職場だから、どうしても彼が他の女性と話すのが見えてしまう。
いやだ。離れて、一刻も早く。
昔から自分に自信がない。
彼とずっと、心も身体のように繋がっていたいと考えてしまう。
その気持ちが負担になるのはわかっているのに。
「最近、杏梨さん、おかしいですよ?」
後輩の沙也加ちゃんが、わたしの顔をのぞく。
「たまには、ランチ行きましょう!! 美味しいカレー屋さんがあるんです!」
戸惑いながらも気づかいが嬉しく、財布を片手に外に出た。
風が気持ちいい。
「彼氏さんとケンカでもしたんですか?わたしもよくします!カレー食べて元気出しましょう。スパイス効いてて最高でしょ?ちょっと変わった味がするんですけど、自分の血に栄養がぐぉーっと入る感じがするんですよね」
「すごく…美味しい」
みるみる血が通っていく。
「ちょっとお行儀悪いんですけど、ご飯とぐちゃぐちゃに混ぜると本当美味しいんです!!」
元気がでた。
もっと彼を信じよう。
そう思ったのに、また心がぐちゃぐちゃになった。
彼と沙也加ちゃんが手を繋いで歩いているのを見たからだ。
「大丈夫?」
同期が、沙也加ちゃんの背中をさすっている。
「沙也加が佐々木さんと付き合ってるなんて知らなかった。辛いね。行方不明ってどこにいったんだろう…」
「佐々木さんはここにいるよ」
わたしは、自分を抱きしめた。
沙也加ちゃんが悲鳴をあげる。
悲鳴を上げ続けて、失神した。
わたし、何か言ったっけ?ああ、こう言ったのか。
「ごめんね、わたしが、佐々木さんと一つになった。教えてくれて、ありがとう。変わった味だけど、カレーってぐちゃぐちゃに混ぜると美味しいね!」
わたしのぐちゃぐちゃな愛 だら子 @darako
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