貴方は私以外の場所に行ってはならない

アキノリ@pokkey11.1

第一章 歪みゆく世界

私は君の為に居るから

第1話 とても大切な人だから.....。

そもそも矢川智彦(やがわともひこ)。

つまり俺は冴えなくのボッチの高校2年生の男子だ。

どれだけ冴えないか、受け入れられてないか、というと。

前のクラスの転校をしても拍手が僅かしか無いぐらいしか鳴らなかった。

俺はその事は苦笑しながら受け入れてから学校を転校。


何故学校を転校したかといえば。

それなりの転校の理由の事情があったから、だ。

そして俺は隣の県の新しい高校に通う為にクラスに登校した。

のだがそこで俺は違和感を感じる。

何故かといえば.....。


「え.....」


何故か全く分からないが。

俺の転校したクラスに凪島さん?

確か前の県の通っていた学校のスクールカーストトップでかなりの美少女の凪島胡蝶(なぎしまこちょう)さんが居たから、だ。


瓜二つ。

つまり同じ相手だろう。

彼女もこの学校に転校、え?


俺は唖然としていたが先生に言われてボンヤリするのを止めて。

そのまま首を振ってからそのまま案内された椅子に腰掛ける。

それは丁度、凪島さんの横の席だ。

当然スクールカースト下位の俺は凪島さんとは全く話した事はない。

のだが親近感が湧く。


すると凪島さんがニコニコしながら俺に話し掛けてくる。

ねえねえ。また一緒だね、と言いながら。

え?彼女は前の学校で俺を見ていたのか.....?

俺なんかを?


こんな美少女なのに?

スクールカーストトップなのに?

モブを認識していたのか.....?


「君は.....間違いなく矢川くんだよね?」


「そ、そうです.....」


「私の名前は知っているよね?凪島胡蝶。前の学校で一緒のクラスだったよね」


「そうだよね?やっぱり一緒でしたよね?」


「アハハ。何で敬語?.....敬語なんてしなくて良いよ。私は胡蝶って呼んで」


「い、いや。それは恐れ多い」


そんな会話をしていると先生が、そろそろ良いかー、と揶揄う様に苦笑気味に仲裁に入ってくる。

それから俺達は会話を止めてからそのまま休み時間に入る。

思えばこれが凪島さんとの関わりの始まりだった。



「ねえねえ。何処から来たの?」


「前の学校は?」


「おう。部活入ろうぜ!」


そんな会話を受けながら俺は慌てる。

やはり前の学校とは偉く違うな。

こうして何だか気さくに話し掛けてくる人が多い。

俺は考えながら汗をかきつつ周りを見渡す。

すると凪島さんが真顔のまま俺を見ているのに気がついた。


俺が気付くと笑顔で手を振る。

な、何でしょう、と思いながら俺も手を振る。

すると、凪島さんと学校一緒だったの?、と早速聞かれた。

俺は、ま、まあ。上の方だったけどね。彼女、と答える。

へー!、とみんなは凪島さんを見る。


「まあ大した事じゃないけどね」


凪島さんは答えながら俺を見つめている。

何でそんなに見つめるのか全く分からない。

俺は考えていると次の時間になった。

それからみんなは椅子に座って行ってから。

俺は凪島さんを見る形になる。


「.....楽しい?」


「.....え?あ、うん。楽しいよ」


「そっか。.....異性と会話して楽しい?」


「え?.....あ、うん.....」


「そっか.....」


そう溜息混じりについてからメモを取る凪島さん。

何のメモだろうか、と思いながら凪島さんを見てみる。

凪島さんは、駄目だよ。見たら、と笑顔を浮かべる。

俺は?を浮かべて、あ、はい、と答える。


「.....ねえねえ。矢川くん」


「.....何かな。凪島さん」


「.....私以外の異性と会話をして楽しい?」


「.....え?」


同じ質問?

というか何か違うけど。

でもどういう意味だ、と思いながら凪島さんを見ていると。

ドアが開いてから、ほら!席に着け!、と声がしてから。

そのまま次の時間が始まり。


俺は凪島さんに聞けなかった。

これは後には話が続かないな、と思って俺も話を切る。

そして勉強に集中する。



「ねえねえ。矢川くん」


「.....凪島さん?どうしたの?」


「私と一緒に職員室に来てくれる?」


「え?あ。何か用事かな」


「うん。用事」


3時限目の休み時間。

そう言われたので俺達はそのまま椅子から立ち上がってから。

そのまま凪島さんの手伝いで職員室に向かう.....あれ?

職員室ってそっちじゃない。

紹介された方角じゃない方向に向かう凪島さん。


「な、凪島さん?そっちは屋上.....」


「うん。寄り道。.....見てもらいたい景色があって」


「あ、そ、そうなんだ。じゃあ行ってみようか」


そして屋上に出る。

良い景色だな、と確かに思う。

絶景とは言わないけど、だ。

これぐらい良い景色の.....それなりの仲間の学校は久々だな、と思う。

すると凪島さんはガチャリと不気味に屋上の鍵を閉めた。


「.....え?.....な、凪島さん.....?」


「.....ねえ。矢川くん。.....私は魅力的かな」


「.....え?.....え、あ、うん!?」


「私は貴方の大切な鏡になっている?」


「.....へ?」


な、何を言っているのか。

俺は!?と思いながら赤面しながら凪島さんから後退りする。

すると凪島さんの瞳からハイライトが消える。

そして迫って来た.....。

な、何でしょう?


「私は.....貴方の為になっているかな.....?」


「ちょ、ちょっと待って。凪島さん.....?」


「私は.....貴方が全てだから。.....貴方という人が全てなの。.....だからね。私は貴方の事、大切にしたいから」


そして瞳孔が.....あまり開いてない笑顔を浮かべる凪島さん。

何が.....どうなっている。

俺はブワッと汗をかきながら見ていると。


屋上のドアがバンバンと音がした。

それから、あれ?閉まっているぞ?、と声がしてくる。

屋上の入りたい様な男子生徒の声が。

すると凪島さんは目線だけずらして立ち上がる。


「.....!」


「じゃあまた後で。アハハ」


何だったのだろうか。

思いながら俺は崩れ落ちていた膝を動かす。

そして去って行く凪島さんを見ていた。

何事.....?

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