【KAC20233】ロボットの配線ぐちゃぐちゃ

amegahare

配線は綺麗にしたい

怪獣が出現して人類を襲うようになってから百年が経過した。

人類は怪獣への対抗手段として、汎用型ぬいぐるみロボットを創り出した。

今春に整備士学校を卒業した俺は、汎用型ぬいぐるみロボットの整備課へ配属された。希望通りの人事だったのでとても嬉しかった。


今日が整備課への初出勤である。

身だしなみを整えて、職場へ向かう途中であった。

「緊急警報、緊急警報。怪獣が街に接近しています!」

怪獣の襲来を伝える防災放送が街中に鳴り響いた。

初出勤日に怪獣の襲来に遭遇するなんて、俺はついていない。

大型バイクに乗り、渋滞する自動車の隙間を縫って、整備課のある基地へ急行した。

基地へ到着して事前に配布されていた作業服に着替える。

「さて、俺のチームはどこかな」

期待と不安が入り混じった感情で、俺は整備課に顔を覗かせた。

「おつ!新人きたな」

白髪の混じった初老のオジサンが俺を見つけて声を掛けてくれた。

「今日からお世話になります。整備士のミケレレです」

声を張り上げて自己紹介した。何事も最初が肝心である。

初老のオジサンが俺を見つめながら、手で合図する。

「新人。今は怪獣襲来の緊急事態で、すまないが、さっそく汎用型ぬいぐるみロボットの整備をお願いする」

「わかりました!」

「今日は白ウサギ型ぬいぐるみロボットが出撃するぞ。新人、配線チェックを頼む」

「了解しました、このミケレレ、学んできたことを存分に発揮します」

俺はロボットがある整備室へ駆けて行った。

俺は自分の技術力をさっそく活かせる機会に恵まれたことに感謝しつつ、ロボットの電気盤を開けた。

「えっ!」

絶句した俺は、自分でも情けない声を挙げてしまった。そして、叫び続けた。

「配線が全部白色です!なぜ、白色のケーブルしか使っていないんですか!?しかもコネクタも全て同じで、テプラなどの表記もないじゃないですか!?」

白ウサギ型ロボット恐るべし!

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