第59話

 そばにいるグッテンが苦渋の顔で呟きゆっくりと頷いた。

 僕は怒り狂っているジェームズ・ハントのところへと走った。そう黄金の至宝を持って。

「お前はわしの子孫だな! この館の住人と亡霊たちはわしのものだ! この館からは一歩も出さない!」

 ジェームズ・ハントは、その朧げな右手を上げる。

「魔法を使う気だ!」

 雲助が叫んだ。

 僕は素早くジェームズ・ハントに渾身の力で体当たりをして黄金の至宝を念じて捻

じる。


 けれど、黄金の至宝は眩い光を放っているだけ……。


 ジェームズ・ハントから発せられる見えない衝撃で、後ろへと突き飛ばされて倒れた僕はすぐに立ち上がった。ロッテとコルジン。そして、グッテンが僕の所へと来た。


 コルジンが戦いの態勢になる。

 グッテンはオールバックを整える。 

 ロッテは僕の手を握り。


「あなたなら大丈夫」

「う……うん」

 自信が無くなりだし、解らないことだらけの僕をロッテが勇気を与えてくれる。

「おのれ! 小童め! わしの大事な館の住人は誰にも渡さんぞ! 魔法で捻り潰してやる!」

 僕はもう一度、体制を立て直し右手を上げて魔法を使おうとしたジェームズ・ハントに、必死に走って、体全体でぶち当たった。そして、黄金の至宝を念じて捻じった。

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