第23話
「この館のある場所の遥か遠くまで続く、湖の味は?」
「簡単……。しょっぱいさ」
「おお。ヨルダンくんは賢い。正解だ。どこで古文書を見開いたのか聞かせてほしいね。」
そんなふうに簡単な問題ばかりだよ。もっと難しい問題は無いのかな。僕は頭を捻って考えるような問題が出ないかと、今か今かとウズウズする。しかし、一方で僕の特別な女性が、僕の答えに一問一問驚きの顔をするのを僕は内心喜んだ。
それでも、ルージー夫人のためにクイズの問題を聞き逃さないようにする。
……しょうがないよね。
「では、第二問。この近辺にあるといわれる大木の名は?」
「簡単……オッド樹木さ」
僕の家の近くに立っている……。
「ははーあ。これはすごい。こんな賢い子は初めてだ」
――――
「さあ、最後の問題だ」
ハリーが重い口調と顔を強張らせて、怖い顔をしてきた。と言っても。単に緊張感を醸し出したいのだろう。
「古文書の中でも最高の問題だ……。太陽というのがあって、それは空に浮かんでいるのです。けれど、空が暗くなると太陽は落っこちてしまう。さあ、どこに落ちるのか。どうだヨルダンくん。最高の問題だ。解るかな……?この問題が解ければ……君は金と旅行という二つのちっとも有触れていない幸運を掴むのだ」
ハリーは四方八方へと動いている両目で、僕を見詰める?
僕は100万クレジットという大金に、今更ながら目が眩んできた。天使の扉での仕事の何年分なのだろう?この問題を解いたら、僕は狭い部屋で生活しているコルジンに部屋を買ってやろう。そして、残ったお金で豪華な部屋を買って……。
僕はやっとコルジンに恩返しが出来ると、その時は考えていた。
「リスヘル……」
顔の酷い火傷で苦悶の表情のキャサリンが呻く。
「簡単さ。西さ……」
今日も気分的に快晴。
ハリーのショーはあれから誰もクイズに挑戦しないので終わりになった。ハリーはそれでもショーが成功したと大笑いしていた。
僕は旅行のことと100万クレジットのことで、頭がいっぱいだったようで、ルージー夫人の看病をしている僕にとっての特別な女性も頭には、入っては外へ、外へ出ては入っていた。
ここはコルジンの部屋。そこで、ハリーのショーを終えた僕たちが、夕食のカレーを食べながら今後の事を話していた。
ルージー夫妻は自分たちの部屋で寝込んでいるのだろう。僕にとっての特別な金髪の少女は医者の娘だったようで、(この館で唯一の医者。その娘なのだそうだ)看病をしてくれている。
「俺の部屋より……。おチビちゃん……いいかい。ルージー夫妻のことを考えてくれないかな」
コルジンが賞金100万クレジットと書いてある。大きく片手に余るビスケットを持っている僕に打ち明ける。
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