第19話

 ステージには光輝く黄金の色を発した照明が、ハリーを一段と輝かし、黄金の色は鮮やかにハリーを歩く宝石へと変貌させた。まるで、ステージが全て煌びやかな金色の宝石で出来ているようだ。

「さあ、みなさん! 楽しいことに飢えているかい! 娯楽は至極極楽! 退屈で鬱屈なのは真っ平御免! キャベツジュースとフライドチキンの用意はいいかい? 仕事なんてしなくても今日は大して気にしないぜ! 消防活動をしてくれる住人たちも、火事をそっちのけで見に来てくれ! きっと、館は魔法が掛けられているから全焼はしないよ! それより、このショウを全勝してくれ!」


 ハリーはマイクを通してコミカルに言い放つ。


「これから楽しいクイズを私が幾つも出して、それを頭を捻って答えてもらうよ! それには! 仲が良いなら誰とでも! 仲良く二人でペアを組んでもらう!」

 ハリーは両手を広げ、

「そして、一人がこの拷問椅子に座り、もう一人は勇猛果敢にクイズに挑戦してもらうぜ! 10問全て正解なら……豪華100万クレジットと私の部屋からの館の奥へと2週間のご招待! あ、それから焦って制限時間以内に答えをださなきゃいけないぜ!」


 ハリーはそう言うと、上機嫌にクルリと回り、

「だが、不正解が一つでもあったなら、その場で可哀そうな御連れさんは拷問椅子で世にも不幸なこの世の最後を垣間見てもらうことになる!だけれどだけれど、ペアは一つ間違えればクイズに挑戦する者を交替できるんだ!でも、そこで残念残念またクイズは10問になってしまう!勿論、勿論、何度も間違えると……」

 ハリーは低く声のトーンを落として、

「御連れさんは……。おお、可哀そうで言えないよー」

 ハリーは芝居がかった物言いをし、頭を垂れたがすぐに前方を真っ直ぐに向き、

「さあ、誰か勇猛果敢な挑戦者はいるかい! 勿論、ペアでだよ!」

 ステージが静まり返った。さっきまでのハイテンションが嘘のよう。みんなざわざわと小声で話始める。

 僕は今でもドキドキする心臓が急に萎れて、委縮していくような感覚を覚えるが、頭では金髪の少女のことばかり考えていた。左右に耳を傾ける。

「やっぱり……」

 隣のグッテンは呟いた。

「おいおいマジかよ。ハリーの奴どうかしてしまったのかな。俺はハリーが奥さんを失った時、その場にいなかったからな。よく解らないが可笑しくなっちまったのかな」

 コルジンは気分を悪くして、僕の頭を撫で始める。


 僕は今度は後ろの席の声に耳を傾けると、

「俺の言った通りだろう。ハリーはやっぱり気違いだよ」

「こんな所に居たくねえな。帰るかな」

「30クレジットも損したぜ。けど、誰か挑戦しないかな」

「馬鹿野郎。クイズをする奴はいいが、もう一人は死んじまうだろうが」

 人々は色々なことを口にする。それらの事を聞いていると、なら僕が出ようか……などと考えてしまう。連れは一人もいないけど。雲助でもいいのかな?

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