揺蕩う泡沫
みない
第1話
皆さんこんにちは。
今回紹介する商品はこちら。
スペルシアYです。
こちらの商品は、愛犬がソペリしたときに食べさせてあげますと、すぐに元気になります。またツァラトゥストツァイアにも効きますので、愛犬と暮らしているかたは是非お買い求めください。
これは今日の朝、テレビで流れていたCMだ。
全くもって意味がわからない。ソペリとは一体なんなのか、ツァラトゥストツァイアとはなんなのか全くわからない。そもそもこのCMで使われていた犬も、到底犬とは思えない異形の生き物だった。
母さんに頼まれてドラッグストアに買い物をしに来た。そのメモに目を落とすが、母さんもよくわからない物を頼んでいた。
トゥストゥイア系洗剤プリヴェ、ぺぺルツディア用エストモンゲ、パティアリアヴェヴェルーチェ。
仮に暗号だったとして、もはやどれがなんなのか、原形が全くと言って良いほどなくなっていた。
このメモを店員に見せても頭がおかしいか、薬物中毒者として扱われてしまいそうなものに仕上がっている。
店の中に入り、一番わかりやすい洗剤の棚に回ってみると、そこには見たことのない文字で書かれた洗剤が棚に並んでいた。
この棚の中からトゥストゥイア系洗剤を探すのは難しそうだ。ぺぺルツディア用エストモンゲも、元になっているものがなんなのかわからない。
ぺぺルツディアってなんなんだ?
せめて文字が読めれば、どういうものなのかわかるのだが、文字が読めるようなものではなくなにかしらの紋様にしか見えない。ただ、この紋様をどこかで見たことあるような気がする。
あれだ。クトゥルー文字だ。暇つぶしがてら読んでいたクトゥルー文字の解読表に書いてあった文字に似ている。と言うかそっくりだった。
読み方がわかってしまえばあとは容易い。トゥストゥイア系洗剤プリヴェ、ぺぺルツディア用エストモンゲ、パティアリアヴェヴェルーチェをすぐに集められた。
会計して店を出てふと思う。これは一体なんなのか、そしてこれは何に使うのか。それを知ることはなかった。
スマホのアラーム音で目が覚める。
あいも変わらずよくわからない夢を見ていた。一体なんだったんだあの夢は。やはりこの脳みそもダメだった。培養液に漬けられた脳を床に叩きつける。ぐちゃぐちゃに飛び散った脳の残骸を踏み潰しながら、別の脳みそを探しに行く。
揺蕩う泡沫 みない @minaisan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます