魔王様はからまれる
家に帰って、即アプリをチェック。アプリは数種類あり、俺のは監督者用のアプリ(C)。ちなみにこのアプリが入っていると、どこでもWiFiが無料で繋がるらしい。学生なら大喜びだろうけど、俺毎月ギガ余っているんですけど。
まずはユニフォームガーディアンの現状をタップ。
ユニフォームガーディアン所属校及び所属人数
聖ラルム高校 十三人(三)
竜咲女学院 十二人(三)
※()内の数字は入院者及び療養中及び戦闘不能なユニフォームガーディアンの人数。
今年度死者数 三人
三人も死んでいるのか……そりゃ大村も本気なるわな。
所属高校は全て名門として名高い学校ばかりだ。
神聖土貴高校は新設校だけど、全国的に有名である。なにしろ芸能人や全国レベルのスポーツ選手が多数も在学しているそうだ。土貴で石を投げれば有名人に当たるって言われているレベル。当然警備も厳しく、伝手がないから営業にも行けないのだ。
竜咲寺女学院は、竜咲財閥の運営する超お嬢様学校だ。文武共に優れ、各界に多数の人材を送り出している。ラルムとの違いは家柄を重視される事。ここも警備が厳しく、営業に行けていない。
次にユニフォームガーディアンの選出及び変身をタップ。
ユニフォームガーディアンは魔力測定に合格出来た生徒のみがなれます。その後、生徒と相性の良い魔石が授与されます。
※変身アイテムに関する記述を閲覧出来るのはAランクのアプリのみです。
……相性の良い魔石か。絶対に弄られた魔石だけだ。基本、魔族や魔物が力を貸すのは、気に入った人間のみ。死後に力を貸すなんて話は聞いた事がない。
出現した魔物を見られるのはBランク以上との事。
(後は魔物の出没情報を確認してと……嘘だろ!?)
いくつもある出没情報の中に、あのブリーダーの家があったのだ。情報からすると、目撃されているのは、あの魔物だ。でも、三人にはまだ荷が重い。
◇
頼んでいた模造武器が出来上がったらしい。お上がバックにいるとは言え、早くないか?
(ユニフォームガーディアンの情報は、全て把握しているのかもな……その為のWiFi対応か)
普段はアプリの設定をオフにしておこう。
◇
ラルムって、何回来ても緊張するんだよな。生徒が冷たい目で見てくるし……。
「
話し掛けてきたのは制服をだらしなく着たイケメン…上から目線な金髪イケメンって、少女漫画の中にしかいないと思っていたのに。
「私は事務機器関係の者なんですが、コピー機のメンテナンスに来たんですよ。誤解を与えた様ですね。申し訳ございません」
なにが申し訳ないのか分からないけど、謝っておく。だってラルムお金持ちの子供多いんだもん。プライドより実利優先だ。
そして社名を濁した魔王様は偉いと思います。
「ふんっ。俺は騙されないぞ。お前盗撮犯だろっ!スマホを寄越せ」
やばいな。このお坊ちゃま正義感で動いていやがる。こういうタイプは、人の話に耳を貸さないから厄介だ。
(素直にスマホを渡して身の潔白を証明するか……それはまずい)
スマホにユニフォームガーディアンのアプリ入っているんだよな。何とか穏便に済ます方法はないか。
「日本史の大村先生に聞いて下さい。彼が私の事を知っていますので」
お坊ちゃまでも
「大村?前から、庶民がラルムの先生をやっているのが気に入らなかったんだ。盗撮犯と知り合いなら、パパに言って首にしてやる」
そろそろ我慢の限界が近づいてきたぞ。殺気全開で睨むか、それとも腹下しの呪いをかけるか。
「あっ岩倉さん、探しましたよ……剣崎先輩、お疲れ様です」
まさに救いの女神だ。間に入ってくれたのは、夏空さん。今日もポニーテールがお似合いです。
ちょっと待て……剣崎だと?まさかね。
「夏空、お前この盗撮親父と知り合いなのか?」
盗撮親父って……確かにおっさんだけどね。
「剣崎先輩。その人は私達を指導してくれている方ですよ。もちろん理事長先生公認です……しげちゃん、キョロキョロしているから疑われるんだよ。ライソ教えるから、今度から学校来る時は、僕に連絡するよーに」
桜が俺のスマホを取ると、手早く操作し始めた。今度飯をおごってやろう。
「言っておきますけど、岩倉さんはお強いですよ。それと私達はこれから、訓練です。邪魔しないでもらえますか?」
そして雪守さんも参戦してくれた。イケメン君ではなく、俺の味方をしてくれたのが嬉しい……俺の味方をしたんじゃなく、イケメン君が嫌いな可能性もあるけど。
「君達、おかしくないか。どう見てもこの親父より、俺の方が格好いいだろ」
それは異論ないけど、論点がずれてないか?
「うるせーぞ、剣崎。その人は俺の恩人だ。それ以上馬鹿にするんなら、殴るぞ」
次にやって来たのは知らない女の子……だよね。短い髪にキリっとした男前な顔。目つきも鋭く少年漫画の主人公の様だ。
(でも、スカート履いているから女の子だよな……後輩女子にモテるタイプだ)
「秋月まで……ちきしょう!覚えてろよ」
イケメン君こと剣崎君は、そう言い残すと立ち去っていった。
秋月……もしかして夏空さんの幼馴染みだっていう秋月晴さんだろうか?
「あんたがペンダントを取り返してくれたんだろ?……そのありがとよ」
お礼を言うのが照れ臭いらしく、秋月さんは頬を赤く染めた。俺が優柔不断でお人よしな同級生だったら、恋に発展していたかもしれない。
「いえいえ、無事に返す事が出来て良かったです」
しかし、残念ながら俺は元魔王なおじさん。発展する可能性は無に等しい。分の悪い賭けを通り越して、残念な妄想になってしまう。
「祭、このおっさん本当に強いのか?剣崎に言われっぱなしだったぞ」
秋月さんは俺の強さに懐疑的な様だ。まあ、見た目は普通のおじさんだしね。
「前に三人で挑んだ事があったけど、全然歯が立たなかったの。下水道でも一人で戦っていたし……あっ、岩倉さん、この子の名前は秋月晴。私の幼馴染みで、もう一人の仲間です」
まじで春夏秋冬だったのか。でも秋月さんは、他の三人より戦いに向いている感じがする。
「晴、しげちゃんは人畜無害なおじさんに見えるけど、戦闘力だけは化け物なんだよ。戦闘力の半分でも、恋愛力があれば、おばさん達も心配しないで済むのに……本当に残念なパラメーターだよね」
桜、おじさんだって傷つく事忘れてないかい?……今晩は、焼酎とスーパーのお刺身で一人酒します。
「分かったよ。でも俺は自分で見た物しか信じねえ。これからユニフォームガーディアンの特訓なんだろ?そこで確かめてやる」
秋月さんは、そう言うと俺に拳を突き出してきた。女子高生四人に囲まれていると聞けばハーレムっぽいけど、全くそんな感じしないんですけど。
だって、俺これからこの娘達を鍛えなきゃいけないんだ。そうしたらドン引きされて、距離が開きまくるんだよね。
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