第42話 ヘストロアから来た少女
次の日の朝、ギュンターやシリウスは、パーティーに参加した騎士を連れ、国防任務に就いていった。
俺は屋敷で朝食をとり、マリアや、カトレアと一緒に談笑している。ルーナは一応奴隷であるから座っている俺の後ろに立たせているが、座らせてもいいのだろうか?
フリーダにルーナを紹介した時はあまりいい顔をしなかったから、優しくしすぎると駄目かな?
フリーダは会話がひと段落したことを見計らい、俺に謝る。
「昨日はごめんね。 パーティーに参加できなくて……」
「いいえ。気にしていませんよ。それで、母上が待っていた人とは?」
カトレアは知っていたようだが、フリーダ様から直接聞いてくださいと言って、教えてはくれない。
「母上…か。 前みたいにお母様って呼んでほしいなぁ……なんて」
フリーダはお母様呼びにこだわりがあるようだが、俺的には母上の方がしっくりくる。
ずっと呼び方を変える次期を模索していたが、1年フリーダに会えていなかったこの時がベストなタイミングだろう。
「ああと、あの子の事だったわね。 分かったわ。今呼んでくるわね」
そう言って。部屋を出ていくフリーダ。
「一体どなたでしょうか?」
フリーダが出ていったら当然、連れてくる人物の話題になる。マリアが疑問に思うのも当然だ。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか? カトレア」
「んー。やはり、フリーダ様から紹介されるのが一番だと思いますが……。どう思いますかサディーさん」
カトレアは、部屋の入口付近に佇んでいたサディーに話を振る。
「フリーダ様は、あの方を坊ちゃまに紹介することをとても楽しみにしています。よって、フリーダ様をお待ちください」
「だ、そうです。フィンゼル様」
「それならしょうがないな」
誰だ? もしかして現ヘストロア公爵か? いや、そんな人が自分の領土からでてこっちまでわざわざ来るだろうか? そして気になるのはサディーの物言い。なんとなく不機嫌? に感じる。何かに納得いっていないと言った感じ。いや、サディーの機嫌が良かったことなんてあんまりないから参考にはならないか。
俺やマリアがどんな人物か考えていると、フリーダは戻ってきた。
「はーい!皆さん注目してください!この子が紹介したかった子。現ヘストロア公爵の娘で、フィンの許嫁。エマ・フォン・ヘストロアちゃんでーす」
そういってフリーダは後ろに隠していた女の子を前に出した。
出てきた女の子は、一言で言うなら西洋人形のような美人。しかし、その作られたように整い過ぎた顔立ちはちょっと怖いくらいに感じる。髪は銀髪をミディアムにし、その透き通った青い目は全てを見透かしたようにこちらを見ていた。
ヘストロアの娘か。年も俺と同じくらいか……。
ん? 今フリーダはなんて言ったんだ?
「では、後は若い子同士でよろしく!さぁ、フィンとエマちゃん以外はこの部屋から出ていってね!」
お見合いの席の仲人のような事を言うフリーダ
「え!? ちょっ! 奥様! これはどういうことですか!?」
「さぁさぁ マリアちゃんも出ていきましょうねー」
マリアは抵抗しようとするが、フリーダに逆らうわけにもいかず、部屋から追い出されてしまう。
「それじゃ、エマちゃん。 フィンの事よろしくね!」
フリーダは俺と彼女以外の人を部屋から追い出し自身もウインクして立ち去ってしまた。
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