第36話 VSスケルトン

 スケルトン同士の戦いなら俺のスケルトンは負けないが、どれだけ普通のスケルトンを圧倒しようと、将軍ジェネラル一体に蹴散らされてしまう。


 どう攻略しようかとスケルトン同士が戦っているところを見ていると、相手側のスケルトンからタワーシールドを持った個体や、スケルトンの骨が太くなってガタイのいい個体、さらには火の玉や矢などの遠距離攻撃が飛んでくる。


 ただでさえ将軍ジェネラルに苦戦しているところに、上位個体に出張られると流石にきつい。

 俺のスケルトンは見る見るうちにやられていき、もはや全滅間近だ。


 ……焼き払うか?


 いや、まだ早い。まだ巻き返せる。こっちも上位種を召喚できれば―――

 俺は頭の中にゴツイ鎧を着た将軍を思い浮かべて召喚しようとするが、黒い霧の中からは何も現れなかった。


 駄目か。なら別のやつは……。


 今度はローブを着たスケルトン。スケルトン・ウィザードを思い浮かべて召喚すると今度は上手く召喚出来た。


 よし。今度はウォーリアだ。


 骨太でガタイのいいスケルトンを思い浮かべ召喚する。成功。


 続けて、スケルトン・アーチャーとタワーシールドを持ったスケルトン・ガーディアンの召喚にも成功する。


 これで条件は同じだ

 追加でまた100体ほどスケルトンを召喚し、突撃させる。

「ガーディアンとウォーリアは前面にでて敵の注意を引け! その間にアーチャーとウィザードは援護だ! 行け!」


 俺はアーチャーを10体と他の上位個体を5体ずつ召喚し、それっぽい指示を出すと、押されていた分を押し返していく。


 なぜかしら、俺が召喚したスケルトンは質が良く、同じ上位種どうしなら俺のスケルトンの方に軍配が上がる。


 数でも質でも勝る俺のスケルトン軍団はそれほど時間が掛らずスケルトン・ジェネラルの軍を崩壊させた。


 あとはあいつだけだな。


 最後の獲物となるスケルトン・ジェネラルを見据えると、そいつはたった一振りでガーディアン3体を蹴散らした。


 なるほど。やはり将軍だけの事はある。

 だがいくら将軍といえども多勢に無勢。

 思った通りスケルトン・ジェネラルは俺のスケルトンに囲まれ容赦ない打撃を受けている。


 勝利は時間の問題だが、最後は俺の手で葬ってやろう。


連射する火球ラピッド・ファイア


 俺は小さな火球をいくつも手の平からマシンガンを打つように連射する。

 スケルトン・ジェネラルに着弾すると、小さな火球は次々に爆発し、ダメージを与える。

 次第にスケルトン・ジェネラルの動きは鈍くなり、とうとう膝をついた。


 仕上げだ。


 最後に大きめの火球をスケルトン・ジェネラルに浴びせると、魔石を残し、完全に消し去った。


 ふー……とりあえず終わったな。俺はあたりに散らばる魔石を拾おうと動くが、俺の召喚したスケルトン達は、散らばる魔石を一心不乱に食べていた。普通の石くらいの硬さはあろう魔石を、それはもうバリバリとせんべいを食べているかの如く、軽々とかみ砕いていた。


「おいおい……何やって―――」


 俺が、スケルトン達の奇妙な行動を止めようとした時、突然立ち眩みが起こった。心拍数と息が上がって行く。頭がグラグラと揺れ動く。俺は気持ち悪くなり、たまらず膝をつき、口を押えて息を整える。


 な、なんだ……これは……? なれない闇魔法と召喚魔法を使ったからか?


 俺は何も考えられないまま、じっとすること数分。息も大分楽になり、抑えていた手をはすと、手の平に真っ赤な液体が付着していた。


 これは……血か?


 口元をまさぐると、鼻時がたらたらと流れていた。

 俺はパニックになりそうな所を必死にこらえ、深呼吸をし、落ち着きを取り戻す。

 この状態ではクエストどころではない。魔物と戦っている時にさっきの状態になれば、最悪死ぬ。一度帰ってさっきの原因を調べる必要がある。まさか病気……。いや、そんなまさか……。


 俺はスケルトンを倒して出た魔石を、少しでも回収して帰ろうと思い、あたりを見渡したが、一つ残らず俺のスケルトン達が食べた後だった。

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