第34話 一緒に作りましょう!
学園が終わり、俺とモニカは王都にあるモニカの家を目指していた。
薬学の実習からモニカの様子がおかしい・・・モジモジしたり、俺と視線が合うと顔が赤くなったりするのだ。
「モニカ、大丈夫か?しんどいなら言ってくれ。」
「は、はい!大丈夫です。」
「ならいいが。」
「こ、コウさん折角ですし手を繋ぎませんか?」
「あぁ」
俺はモニカに手を差し出す。
指を交互にくっつける恋人繋ぎをして来た。
「何で恋人繋ぎなんだ?」
「えっ!?こういう時にするんじゃないんですか?」
「そういうものなのか。」
まぁ杖の時と同じように、異世界では友人同士はこうするのだろう。
二人で王都を歩いていると見覚えのある道に出て見覚えのある建物に近づいてくる。
「あっ、ここが私の家の薬屋です。」
「ここか・・」
やはり見覚えがあった。
何と、モニカの薬屋は俺とナシェが修学旅行の買い出しをした店の隣だったのだ。
扉を開けるとベルが鳴る。
店内には優しそうな老婆がいた。
「ただいまー、お婆ちゃん」
「モニカ、おかえり。」
「お邪魔します。初めましてコウと申します。」
「おやおや、モニカの友人かい?」
「はい。モニカさんにはお世話になっております。」
「そうかい。まぁゆっくりしておいき。」
モニカのお婆ちゃんは俺とモニカが恋人繋ぎをしているのを見て、
何かを察したように微笑んだ。
「ここが私の部屋です。」
「へーおしゃれだな。」
ベッド周りには枕を取り囲むように見たことのあるキャラクターの人形が置かれていて、向かいの机には薬学に関する道具やら資料が広げられていた。
ベッドにモニカが座りモジモジしながらこちらを見てくる。
やはり様子がおかしい。
「コウさん、ここでいいですか?」
「あぁ、早ければどこでもいいぞ。」
「早ければって・・・わ、わかりました!」
モニカがいきなり服を脱ぎ出す。
薬を作るのに必要なのか・・・・まてまて、俺はそもそも作る薬を教えてないのだ。
「お、おい。まだ何を作るか教えてないだろ。」
「えっ!?赤ちゃんじゃないんですか?」
「は?」
「えっ!?」
二人とも1分ぐらい固まる。
なぜこうなった。とりあえず俺は目的の確認を行う。
「待て待て、俺はモニカからある薬の作り方を教わりたいだけなんだが・・・」
「えっ・・・・わ、私・・・勘違い・・・・」
「だ、大丈夫か・・・モニカ・・・」
モニカは肩を落としボーッとする、そして何かを思いついたのかこちらを真剣な表情で見てくる。
女の子があんな表情をする時は嫌な予感しかしない。
ナシェとリンで経験済みだ。
「こ、コウさん!」
「何だ?」
「もう薬のついでに作りませんか?赤ちゃん!」
「待て待て!何でそうなる。」
「わ、私コウさんが好きです!!」
「お、おう・・・・俺も好きだぞ。」
「な、なら!」
モニカが俺の手を引っ張りベットへと誘導する。
モニカが口ずけをしてくる。
「んっ・・・」
「モニカそういうことは付き合ってからだな・・!?」
俺は口を動かそうとして異常に気がつく、体が動かなくなっていたのだ。
まさか・・・・ステータス画面を見て驚く。
状態 麻痺
油断していた・・・・そしてモニカの反対側の手には薬の瓶・・・。
やられた・・・。
手を引っ張った時に麻痺薬を塗ったのであろう、流石薬屋の娘といったところか。
服を脱ぎ、下着姿になったモニカがウットリとした表情でこちらに詰め寄る。
「ふふっ、初対面で・・・私を・・・一目惚れにさせたコウさんがいけないんですから・・・」
「あぁ、すまなかった。」
「えっ!?何で動けるんですか!?」
「麻痺の解毒薬を使わせてもらった。」
「そ、そんな!動けないのに・・・私が麻痺薬を使うと予測していたんですか?」
「いや、麻痺中でも解毒薬を使う方法があるんだよ。」
「う、うぅ・・・・」
まさか地味な女の子がこういう手を使うとは思っていなかった・・・。
今後毒でも盛られると厄介なので、どうにか釘を刺しておく必要がある。
「それにしてもモニカにはちょっと、がっかりしたよ・・」
「ご、ごめんなさい・・・」
モニカが今にも泣きそうな顔をしている。
「今後俺に対して薬を使うのは禁止な。」
「は、はい。」
「それと他に薬教えてもらえそうなやつを探さないとな・・・」
当然そんな人物はモニカ以外に心当たりがない。
モニカが泣き出す。
「そ、そんな・・・・わ、私何でも言う事を聞くのでお願いします!」
「な、なら仕方ないな・・・聞いてもらおうかな・・・」
即座にモニカが笑顔になる。
「はい!はぁ・・・はぁ・・・」
即答かよ・・・てか興奮しすぎだろ・・・。
「それにしてもモニカがムッツリだったとはな・・」
「ムッツリって何ですか?」
「あぁ、真面目そうで実は変態さんって事だ。」
「へ、変態!?私はコウさんとの愛の証が欲しいだけです。」
「それを変態って言うんだよ。」
「うぅ・・・!?ならいつもイチャイチャすればいいんですよね!?」
目の前のモニカは俺に飛びかかろうとしていた。
「は?待て待て、まずは落ち着こう。」
「そ、そうですね!」
「はぁ・・・」
「はい」
「とりあえず服を着てくれ。」
モニカはモジモジしていた。
「分かりました・・・そ、その前にお手洗い行っていいかな・・・?」
「あぁ好きにしてくれ。」
30分後、モニカがトイレから帰って来た。
なぜか顔が少し赤いモニカはすっきりとした様子で服を着る。
「お、おまたせしました!」
「いいか?」
「はい!よいしょっと・・・。」
モニカがメガネをかけてこちらを見つめてくる。
じっとしてるとアカネに似て、かわいいんだけどなぁ・・・・。
ここまで来るのに長かった・・・。
俺はタブレット端末を取り出し説明する。
「俺が作りたいのはエリクサーの上位薬のファイナルエリクサーなんだが・・・」
「エリクサーってなんですか?・・・そんなものあるんですか?」
どうやら、エリクサーは薬屋の娘ですら見たことがない代物のようだ。
「マジか・・」
「お婆ちゃんなら知ってるかも」
モニカと一緒にお婆ちゃんに聞いてみる。
「おばーちゃん。」
「どうしたんだいモニカ?」
「お婆ちゃんあのね・・・これの作り方知ってる?」
モニカがタブレット端末を見せる。
「!?モニカ、一体これをどこで・・・・」
「コウくんが見せてくれたの」
そしてモニカのお婆ちゃんは驚くべき言葉を口にする。
「ほう・・・久々に見たよタブレット端末・・・懐かしいねぇ」
そしてお婆ちゃんはいきなり泣き出す。
「えっとー」
「コウさん、この本を書いたのは私だよ。」
「もしかしてあんた・・・・」
「あぁ、転生者さ。」
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