ぐちゃぐちゃ

アキノリ@pokkey11.1

最終章 俺と君

貴方と私

第1話 ぐちゃぐちゃ→スッキリ

俺の名前は凪山須郷(なぎやますごう)。

昔から身長が高く容姿が所謂ちょいワルの様な感じだったので人が寄って来ない。

内面では友人が欲しいと思っているが.....高校デビューに失敗した。

そして友人が居らずずっとボッチだ。

でもそんな俺でも好きな人は居る。


高校3年になった時から学校に登校してない.....引き篭もりがちの俺の幼馴染の那覇夢色(なはゆめいろ)である。

容姿端麗、成績優秀。


だけどそれでも学校には来ない。

これは何故かと聞いた事があった。

すると夢色は、私が学校に行ってもとろいし邪魔になるだけ、と一言、言ったのを.....知っている。


衝撃だった。

と同時に俺は悲しかったのを覚えている。

無念だった。

邪魔の理由が分からないままだが.....夢色はきっと何か抱えているんだろうな、と思ったから。

理由を聞いても答えてはくれなかった。


「夢色は今日も出て来なかったわ」


そんな事を夢色の母親に当たるおばさんから聞きながら。

心配げなその顔を見ながら俺は夢色の部屋の前に立つ。

そして、夢色、と尋ねる。

全く答えは無かった。

つまり今日もイヤホンを着けてオンラインゲームをしている。


「じゃあ.....宜しくね。須郷くん」


「はい」


俺は学校帰り。

必ず夢色の家を訪問している。

大好きな人の為に俺は訪問している。


相手がどう思っているかは知らないが。

だけど.....俺は夢色が好きだから。

俺はドアを背にしてから腰掛ける。


「.....夢色。俺な。今日.....文化祭委員に選ばれたぞ」


俺はそう呟いて話し掛けてみる。

既に夢色が登校しなくなってから。

半年以上が経過した。

そして.....俺は俯きながら床を見る。

学校.....来ないか?、と尋ねるが返事は無い。


「.....そうか。変わらずだな。.....オンラインゲーム何処まで進んだよ?」


これに対しても無言だった。

俺はその様子に、そうか、と返事をしながら勝手に相槌を打つ。

それから、文化祭だけでも来て欲しいんだが。と尋ねる。


だが返事は無い。

いつもだったら俺は、そうか、とここで引き下がるが俺は引き下がらなかった。

俺は考えていた。

何故ならこの言葉を言いたかったから。


これを今にしたのは理由がある。

高校生活が大学生活にシフトする為に忙しくなって来たから。

この場になかなか来れなくなる可能性もある。


「俺な。好きな人が居てその人に告白しようと思う。高校生活最後とかだから」


記念と思って.....そしてどうしても顔が見たい一心で。

だが返事は.....無い。

ダメか、と思いながら俺は立ち上がる。


だが次の瞬間だったが。

奇跡が起こった。

ギィと扉が.....開いたのだ。


「.....それは.....本当に?」


「え.....ゆ。夢色?」


「.....答えて。.....好きな人.....に告白するの」


「.....あ、ああ。そうだな。.....告白しようと思うが.....」


「.....じゃあ.....学校に行く」


長い髪をしており。

Tシャツに短パンの彼女。

いきなりぶっ飛んでいるんだが。

俺は!!!!?と思いながら夢色を見る。

そして夢色は頬がほんのり赤くなる。


「.....私行く」


「.....な、何で急に?」


「.....な、何でも良いでしょ。.....行きたい」


「.....ああ.....じゃあ来てくれるか」


「.....確かにこれが最後の文化祭だしね」


そして笑みを浮かべる人形の様な無垢な顔立ちの少女。

俺はボッと赤面する。

やはり俺は.....この子が好きなんだな、と思う。

だが次の瞬間。

その言葉にかなりショックを受けた。


「私も好きな人に告白する」


生唾を飲んでしまった。

固まってしまった。

好きな人.....好きな人って言ったか。


誰だそれは。

俺は青ざめながら、そ、そうか、とだけ返事をした。

目が虚になる。


「.....だから部屋を片付けたの。せっかくお付き合いするのに気持ちもぐちゃぐちゃで部屋もぐちゃぐちゃっていうのはあり得ないかなって」」


「.....確かに部屋が片付いている.....な」


そうか.....俺は選ばれなかったのかな。

俺はそっちの方がショックだった。

だけど俺はコイツには幸せになってほしい。

そう思いながら一生懸命に笑顔を取り繕った。

それから結論から言って.....夢色は文化祭に来る事になる。



文化祭の最大行事に(告白祭)というものがある。

そこで俺は.....夢色に告白するつもりだった。

ボッチながらも生徒会長も歴任した俺だが。


青春は殆ど.....無いに等しかった。

ぎこちなかったしな。

だから最後に花火を打ち上げたかった。


「色々な人が.....私を見る。.....何かおかしいかな」


「.....安心しろ。俺が居るから。美少女だしなお前」


「.....ま、またそんな事を言う」


「いや。事実だしな」


そして俺は夢色と最後の時を過ごす。

きっと夢色には好きな人が居る。

俺だという可能性は.....まあちょっと無いだろう、とは思った。

何故なら俺は陰キャだし。

しかも.....毎日毎日来て煩かったろうしな。


「告白祭。良いよね。好きな人に告白出来るの」


「.....そうだな。.....お前が好きな人は.....」


「こ、答えないって言っているでしょ」


「.....そ、そうか」


そして俺達は体育館で告白祭に申し込みをする。

体育館では既に告白祭があっている。

様々な生徒が絶叫してから各々好きな人に告白していた。

俺はその姿を見ながら照明が落ちている人混みが多い体育館に.....あれ?

いつの間にか夢色が隣に居ない。


「.....何処に行った?」


俺は周りを見渡すが。

叫ぶ時間になってしまい.....そのまま俺は体育館の裏口から中に入る。

そして準備をする。


俺はその間も夢色を不安げに探していた。

困ったな、と思う。

トイレに行ったのだろうか。


夢色に伝えたい気持ちが聞こえなかったら意味が無い。

思いながら俺は準備をしていると。

お待たせしました、と声がした。

俺は?を浮かべてその方向を見る。


「.....ゆ、夢色!!!!?」


「さ、最後の文化祭だから」


そこには何故かメイド服姿の夢色が。

メチャクチャ似合っている。

俺が.....というかこの場に居る全員が見惚れる程に。


最後ってそれで着たのか!?

嘘だろ。

これで居なかったのか!


「い、一応クラスメイトとかに問い合わせた。.....それでこうなった」


「.....お前.....」


好きな人に全力で言葉を発したいから、と柔和になる夢色。

俺はその姿を見ながら笑みを浮かべる。

ここまでやられたら好きな人もイチコロだろうな。

そんな事を思いながら見ていると。

夢色が次だった。


「.....じゃあ叫んでくる」


「ああ。気を付けてこい」


それから俺は階段を登って行く夢色に手を振ってから次の番を待つ。

次が俺であるが.....。

俺は心の中で決心する。

夢色には告白しない様にしよう、辞退しよう、と。


彼女の幸せをぶち壊す訳にはいくまい、と思ったのだ。

そしてエントリーナンバーを言っている夢色を笑みを浮かべて見てから踵を返した。

すると夢色はマイクを持ってから今までであり得ない声量を出す。

そうしてからあり得ない人物の名を。


「スゴーーーーーウ!!!!!!!!!!」


「.....え?」


マイクが音割れした。

だがそんな事より、と俺は目を丸くする。

そして俺は愕然として背後を見る。

すると夢色は、貴方が好きだー!!!!!、と絶叫する。


「.....!」


目を丸くしていると。

背後から肩を叩かれた。

それは.....俺の時代の生徒会のメンバーだ。


誰が呼んだのだ!?

と思っていると笑みを浮かべながら、会長。行ってあげて下さい、と背中を押されそのまま俺は壇上に登る。


前生徒会長だー!、とか。


愛してるー!、とか。


よかったなー!、とか。


そんなメチャクチャな応援が目の前の方から聞こえた。

俺は唖然としながら夢色を見る。

すると夢色は汗をかきながら俺に微笑む。


何か手紙の様なものを取り出した。

それから、この半年間。.....私は貴方に多大な迷惑を掛けたね。いつもいつも.....私は貴方から楽しい学校の話を聞いていました。私は貴方が好きな人です、と言う。


「ずっと隠していたのはこの日の為か.....?」


「そう。私は貴方が好きだから」


「.....夢じゃないよな?」


「じゃあ夢じゃない事を証明する」


それから背伸びして俺の唇に唇を寄せてくる。

そしてキスをした。

ほあ!?何して.....、と思っていると。

また、ウォぉぉお!!!!?ふぉぉぉぉ!!!!!、と声がした。


「.....これで分かった?」


「.....お前さん.....」


この後だが教師に流石に止められた。

予想外の展開だった様だ。

そして教師に退場させられたが.....俺達は幸せだった。

それからその次の年の春になる。



「卒業おめ」


「.....そうだな。.....お前さんは留年で後1年間居ないといけないけど.....大丈夫か?」


「.....私は大丈夫だよ。隣に常に彼氏が居るし」


「.....また小っ恥ずかしい事を」


3月9日。俺達は夢色の部屋で会話をしていた。

桜が吹雪いている。

夢色は俺をニコニコしながら見ている。

その姿に苦笑いしながら、しかし驚いたぞ。去年は、と口にする。


「いつまでもグチャグチャでは仕方が無いと思ったからね。心を整理したかった。そして部屋も全部ね。全部.....君という人がグチャグチャを消したんだよ」


「ま.....あ。それならそれで良いけど」


「.....ね。キスしたい」


「.....あのな.....おばさん居るって。この家に」


だがそのまま見上げてきてから夢色は俺にキスをした。

それからはにかむ夢色。

卒業証書を見ながら、来年だね、と笑みを浮かべる。

それまで大学で待っていてくれる?、と聞く。

上目遣いで.....いや。当たり前だ。


「.....ああ。それは良いが本当に同じ大学で良いのか?」


「当たり前だよ。今度はぐちゃぐちゃにしない.....スッキリいくんだから」


そしてピースサインをしてくる夢色。

その姿を見ながら苦笑する俺。

それから俺達は卒業写真を見始めた。


俺の馬鹿な顔とかそんなのを間違い探しの様に探しながら。

そこでふと思い出す。

そういや聞いてないな、と思って。


「.....学校に行かなかった理由って.....結局、何だったんだ?」


「.....体調が悪かった.....それが本当の理由」


「あ.....そうだったのか」


「でも君が近くに居るから恥ずかしくて登校したくなかっただけかも」


「.....何だそれ.....心配して損した.....」


最悪だ。

そんな事を思いながら横を見る。

クスクスと笑っていた。

そこには笑顔の彼女が居る。

俺の大切な.....とても大切な彼女が。


fin

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