その愛は、ぐちゃぐちゃによって儚く散った。

るるあ

どうしても許せない事は、人それぞれ。



 明日は久々の休暇。

 今夜は禁断のハイカロリーメニュー、カーネル○ンダース氏による秘伝のスパイス味、Ken☆Tuckeyだ!!!

 

 地獄の確定申告対応業務を乗り切った私には、ジューシーなチキンが必要なのだ!!

 年末の独りバーレル祭りでは10本いけたから、今回は記録を更新すべく、1ダース12本に挑戦だッ!

 しっているかい?バーレルとは、樽を表しているんだぜ?まるで私の腹のようだな!はっはっは!


 会社帰りに、サンダース氏が立つ店へと車を飛ばす。ドライブスルーの列へ吸い込まれ、メニュー板から追加の誘惑を受けつつ、文明の利器、スマホ決算~♪(cv大山のぶ代)とカバンから出した途端に着信音。


 「あぁ~…。」


 この着信音ダースベーダーは、あいつだ。

 幼稚園からの腐れ縁、玲央。


 見た目強面なくせに、中身乙女なあいつとかなりのワガママボディな俺はチームイジメ

られっ子。

 しかし、脳天気な俺がデブキャラで玲央にツッコミを任せるコンビを確立、一躍クラスのスターへ。そしたら物凄く懐かれて、今でも家族ぐるみで仲良くさせていただいてます。いやー、就職氷河期に、地元の名士なレオパパのコネ大変美味しゅうございました。


 そんなこんなで俺は今や、お堅い官公庁の係長。玲央はパパの会社で副社長!

 そろそろ奴は跡継ぎを…と、お見合い三昧(田舎なのでね…恋愛システムがちょっと

ね…)だが、やっと素敵なレディに出会えたらしいと聞いた。お世話終了な予感!


 「また長々と、惚気かな…。でも聞いてやらないと、写経かな?レベルのライン来るからな…はぁ〜。」


 仕方なく、ドライブスルーの列から外れて駐車場に車を止めた。


★☆★☆★☆★☆


 「もしもーし?惚気の振りした奴隷生活配信はもうお腹いっぱいですよー?」


 『…優、いや、腹が樽ビッシュ、元気そうだな?』


 「樽とか言うなし。ここには愛と勇気が詰まってるし。…って、お前は元気ねぇな?どした?

 もしかして〜?愛するみるみるちゃんにウザがられたとか〜?」


 『……』


 「ぇっ?!?…マジ???

 だ、だってこの間、ニューイヤープロポーズ成功した話を泣きながらエンドレスリピートして俺を電話寝落ちさせてさらにお経ライン送りつけてこなかったっけ?!」


 『…僕の天使は、もう居ないんだ…。僕が悪いんだ、いや、カレーが悪い…。くっ!』


 ブツッ!!ツーツーツーツー……

 「うぉぁ?!もしもし?レオ馬鹿電話を切るなおいおいおい!!」


 緊急事態発生スクランブル!!

 出ましたあいつの面倒くさい鬱期間!!

 慌てて車を、あやつの家まで飛ばした。

 あっ、チキンは買いました、ちゃんとネット予約してあったので。コレがないと俺の心が死ぬんでネッ☆


☆☆☆☆☆☆★


 でまぁ、玲央の家に突入して(親御さんから鍵を預かっております。何故?)

電気も点けず真っ暗な中、家の隅で三角座りをしているマッチョ野郎、玲央さんを私の愛するKen★Tuckeyのかほりでおびき寄せてお話を聞いてみますと。


「駄目なんだ…


 いくらみるみるたんを愛していても、

 カレーライスを…


 カレーライスを食べる前にぐっちゃぐちゃにする奴なんて、無理だ…!

 キ モ チ ワ ル イ!!!!」


「……は?」


 「あいつのいびきも、俺には気を許してるんだなって愛らしかったし、下着や服が一体になったまま洗濯機に放り込むのだって俺がやってあげなきゃって保護欲を掻き立てられて可愛らしいと思ったけど、


…駄目なんだよ、ぐちゃぐちゃだけは!」


 ああ、小学校の時の給食事件か。


 説明しよう!

 小学校の給食事件とは、まだ我々がイジメという名の精神攻撃に会っていた時、悪乗りしたクラスメートのヒャッハー野郎が、玲央のカレーをご飯にかけ、さらには牛乳や豚カツなども全部混ぜ、アーンで食べさせようとしたのである!(カレーの食べ方論争、玲央は混ぜない派、俺はカレーはどんな姿でも尊い派)

 なお、玲央が泣きそうにプルプルしていた為、二人の間に割り込み、私がヒャッハー君に食べさせていただいた!最後までな!

 なお、変なものは入ってなかった為、美味しく頂けた事をご報告しておこう!

 しかもそれ以降、私にアーンするのが流行り、クラスのかわいい子にまでやってもらう役得まであった!色々ごちそうさまでした!


 「…しかも、みるみるたんの弟、郷田るきあ、だった。」

 チキンのをむさぼりながら言う玲央に、時が止まった気がした。


 説明しよう、その2!

 前途したヒャッハー野郎、その名は

 郷 田 る き あ !


 「そうか……。」

 それは、玲央には無理だな。


 ご縁がなかったんだよ、仕方ねぇよ。

 と、その日は二人で飲み明かした。


 こうして玲央の愛は、ケン○ッキーと共に?儚く消えたのだった。

 玲央は傷心で、俺は独りバーレル祭りが開催できなかった事で、泣いた。


 後に玲央とお父様から、バーレルチキン20ピースとKen★Tuckey年間無料パスポートと、玲央の会社の総務部長(玲央の秘書業務)のお誘いが来た。


 と、東京辺りに引っ越そうかな!?

 確か都心部が人手ほしがってたよな!ててて転勤届けをなるはやきんきんで処理だッ!!!






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その愛は、ぐちゃぐちゃによって儚く散った。 るるあ @ayan7944

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