殺し屋ザングブルグ
夕日ゆうや
殺し屋
「ひっ。なんだ。お前は!」
「俺か? 俺は殺し屋〝ザングブルク〟だ」
そう言って拳銃を撃ち放つ。
弾丸はその男の額を撃ち抜く。
そのはらわたを切り裂き、ぐちゃぐちゃにする。
これで猟奇的殺人鬼の事件と思わせることができる。
「ん?」
はらわたから宝石が見つかる。
この宝石。まさかリリングの?
その宝石を手にして俺はその場から離れる。
自宅に帰ると、そこではらわたからとった宝石を洗う。
『ザングブルク。君の活躍のお陰で麻薬ルートを一つ潰せたよ。ありがとう』
「それはいい。それよりもリリングの宝石はこれか?」
『おお。それは間違いなくリリングだ。どこで見つけた?』
「対象のはらわたからだ」
『それは興味深い。こちらで解析を行う。宝石は好きにするがいい』
懐が温かくなると、俺は自宅アパートで
今は仕事用のパソコンを起動していない。
「今夜はオムイラスよ」
卵をぐちゃぐちゃに混ぜてオムライスを作る。
「え。そんな風にして作るの?」
「そうよ。これでこうして、あ……」
ぐちゃぐちゃにしすぎたせいで、オムライスはスクランブルエッグになっていた。
「まあ、これはこれで……」
俺はスクランブルエッグを前にしてつまみ食いをする。
「うん。うまい」
「良かった~。でも失敗したよ。あははは」
「はは。でもいいだろ。たまには」
俺は嬉しい。
大学で知り合って、そしてこうして付き合うことができているのだから。
俺は幸せ者だ。
でも俺の仕事を彼女は知らない。
巻き込んでしまうかもしれない。
それが怖くてならない。
もしも澪がさらわれてでもしたら、俺は顔向けできない。
どうしたらいいのかも分からない。
「さ。一緒に夕食にしましょう?」
「ああ。ありがとう」
スクランブルエッグにチキンライス。ニラ玉のスープ、グリーンサラダが並ぶ。
「いたただきます」
そう言って箸を伸ばす。
「うまい」
でも俺は……。
俺の頭の中はぐちゃぐちゃだよ。
殺し屋ザングブルグ 夕日ゆうや @PT03wing
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