第18話 被災生活を送る老人

 そうさねぇ、元々あたしゃ街一番の煎餅職人で、地元民からは結構評判だったのさ。

 だからあの時は生計にも困っておらんかった。


 そら、一時期は裏の山をあの女の子が焼き払ったりして大変な事もあったけんど、それでも街そのものは平和じゃった。


 じゃけんど、あの大雨の日。

 裏の山からスゴイ地鳴りがしてなぁ、居間でお茶飲んどったあたしゃ、突然後ろの壁に押しつぶされたんよ。


 そんときゃ気を失っとって、何が起こったのかも分からんかったけどねぇ……後から土砂崩れに巻き込まれたんだと知らされたよ。


 それからテレビの映像観てもうビックリ!

 街のほとんどが土砂に埋もれちまって、裏の山が半分以上も削れちまって、大きさも半分以下になってしもうた。


 おかげで財産もナーンも無くなっちまったけんど、今度住むんだとしたら山から離れた都会か、港町に住みたいねぇ。

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